ヒト化抗IL-6受容体抗体トシリズマブが有効であった反応性関節炎の1症例
反応性関節炎は泌尿生殖器または腸管感染後に発症する関節炎であり、HLA-B27関連関節症に属する疾患である。感染後の免疫細胞(Th1やTh17細胞)の活性化、サイトカインの過剰産生が発症病態に関与することが示され、通常の治療に抵抗する場合、TNF阻害療法が有効であった症例も報告されている。しかし、トシリズマブの有効性に関しては未だ不明である。症例は20歳女性、平成15年に尿道炎、結膜炎、関節炎で発症。プレドニゾロンにて治療開始されたが、関節炎持続するため、メソトレキセート、シクロスポリン、平成16年阪大病院受診後に、ブシラミン、サラゾスルファピリジン、ミゾリビンと試みられたが軽快せず。プレドニ...
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Published in | Nihon Rinsho Men'eki Gakkai Sokai Shorokushu Vol. 37; p. 128 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床免疫学会
2009
The Japan Society for Clinical Immunology |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1880-3296 |
DOI | 10.14906/jscisho.37.0.128.0 |
Cover
Summary: | 反応性関節炎は泌尿生殖器または腸管感染後に発症する関節炎であり、HLA-B27関連関節症に属する疾患である。感染後の免疫細胞(Th1やTh17細胞)の活性化、サイトカインの過剰産生が発症病態に関与することが示され、通常の治療に抵抗する場合、TNF阻害療法が有効であった症例も報告されている。しかし、トシリズマブの有効性に関しては未だ不明である。症例は20歳女性、平成15年に尿道炎、結膜炎、関節炎で発症。プレドニゾロンにて治療開始されたが、関節炎持続するため、メソトレキセート、シクロスポリン、平成16年阪大病院受診後に、ブシラミン、サラゾスルファピリジン、ミゾリビンと試みられたが軽快せず。プレドニゾロン5mg/日内服下で、CRP 2.7~3.9mg/dl、MMP3 443~774ng/ml。HLA-B27陽性。血清中IL-6が15.4pg/mlであり、informed consentの取得及び先進医療審査会で承認後、トシリズマブの加療(8mg/kg、4週間隔)を開始した。2回投与後、関節の疼痛及び腫脹は消失し、仮にDAS28-CRPで評価すると、4.79より1.08と低下した。MMP3も118~163ng/mlと減少し、シンチグラフィーにおいても、ガリウムの関節への取り込みが著明に抑制された。難治性の反応性関節炎に対しては、トシリズマブが治療オプションとして考慮される。 |
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Bibliography: | 2-02 |
ISSN: | 1880-3296 |
DOI: | 10.14906/jscisho.37.0.128.0 |