三重県伊賀市東部に分布する中新統阿波層群の層序と年代

三重県伊賀市東部に分布する中新統阿波層群の岩相層序の再検討を行い,さらに微化石に基づく年代推定を行った.阿波層群は下位より東谷畑層,平松層および槇野層から構成される.東谷畑層は領家帯の花崗岩・片麻岩類を不整合に覆う基底礫岩からなる.本研究での平松層は従来の子延層と平松層を一括して再定義された地層で,砂質礫岩,砂岩および泥岩からなり,2回の海進-海退サイクルが存在する.槇野層は含礫泥岩からなり,平松層を不整合に覆う可能性が高いことが本研究で明らかになった.東谷畑層と平松層には北東~南西方向に延びる断層や褶曲構造が発達している.一方,槇野層には盆状構造が発達している.浮遊性微化石の生層序学的研究の...

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Published in地質学雑誌 Vol. 111; no. 12; pp. 779 - 791
Main Authors 渡辺, 真由子, 藤原, 祐希, 林, 広樹, 清水, 謙二朗, 入月, 俊明, 田中, 裕一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本地質学会 2005
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ISSN0016-7630
1349-9963
DOI10.5575/geosoc.111.779

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Summary:三重県伊賀市東部に分布する中新統阿波層群の岩相層序の再検討を行い,さらに微化石に基づく年代推定を行った.阿波層群は下位より東谷畑層,平松層および槇野層から構成される.東谷畑層は領家帯の花崗岩・片麻岩類を不整合に覆う基底礫岩からなる.本研究での平松層は従来の子延層と平松層を一括して再定義された地層で,砂質礫岩,砂岩および泥岩からなり,2回の海進-海退サイクルが存在する.槇野層は含礫泥岩からなり,平松層を不整合に覆う可能性が高いことが本研究で明らかになった.東谷畑層と平松層には北東~南西方向に延びる断層や褶曲構造が発達している.一方,槇野層には盆状構造が発達している.浮遊性微化石の生層序学的研究の結果,平松層はBlow(1969)の浮遊性有孔虫化石帯N.6~N.8帯のいずれかの区間に対比される.槇野層はN.8~N.9帯およびOkada and Bukry(1980)の石灰質ナンノ化石帯CN3に対比されることから,16.4~15.6 Maに堆積した地層であることが明らかになった.
ISSN:0016-7630
1349-9963
DOI:10.5575/geosoc.111.779