樹状細胞Stat6のIL-10産生制御機構

炎症に関与するサイトカインはJanus kinase (JAK)-Statシグナル伝達経路を介したリンパ球活性化が病態形成において重要であるが、単球系細胞における役割はあまり知れていない。最近、関節リウマチ等の炎症性疾患に対してJAK阻害薬(CP690550)が奏効することが明らかとなっているがその作用機序は不明な点が多い。そこで、JAKの下流で活性化され、JAK阻害薬により活性が阻害されるStat6を欠損したマウスの樹状細胞機能を解析した。Stat6KODCの分化、成熟や抗原取り込み能に野生型と違いは見られなかったが、in vitroにおけるリポポリサッカライド(LPS)刺激により、TNF-...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inNihon Rinsho Men'eki Gakkai Sokai Shorokushu Vol. 39; p. 93
Main Authors 山岡, 邦宏, 前島, 圭佑, 田中, 良哉, 尾下, 浩一, 久保, 智史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2011
The Japan Society for Clinical Immunology
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1880-3296
DOI10.14906/jscisho.39.0.93.0

Cover

More Information
Summary:炎症に関与するサイトカインはJanus kinase (JAK)-Statシグナル伝達経路を介したリンパ球活性化が病態形成において重要であるが、単球系細胞における役割はあまり知れていない。最近、関節リウマチ等の炎症性疾患に対してJAK阻害薬(CP690550)が奏効することが明らかとなっているがその作用機序は不明な点が多い。そこで、JAKの下流で活性化され、JAK阻害薬により活性が阻害されるStat6を欠損したマウスの樹状細胞機能を解析した。Stat6KODCの分化、成熟や抗原取り込み能に野生型と違いは見られなかったが、in vitroにおけるリポポリサッカライド(LPS)刺激により、TNF-αやIL-6などの炎症性サイトカイン産生に野生型との違いは見られなかったが、抗炎症性サイトカインであるIL-10の産生亢進が見られた。また、Stat6欠損マウスへのLPS腹腔内投与によりマウス血清中におけるIL-10産生亢進がみられ、更に、脾臓ではIL-10免疫染色により染色される細胞を野生型と比較して多数認め、in vitroにおける結果と同様、IL-10産生亢進が確認された。これらの結果より、JAK阻害薬はDCの基礎的機能に影響を与えず、自然免疫を過度に抑制することなく、IL-10産生亢進を誘導することでRAの病態制御に寄与している可能性が考えられた。
Bibliography:PW-9
ISSN:1880-3296
DOI:10.14906/jscisho.39.0.93.0