金ナノロッドと近赤外光を用いた診断・治療システム

「1. はじめに」球状金ナノ粒子は可視光域(500nm付近)に吸収を持ち, 赤い色素として古くから知られている. 1) 特にステンドグラスにみられる厳かな赤色は何百年経っても色槌せることはなく私たちの心を落ち着かせてくれる. 一方, 私たちの日常生活でも金ナノ粒子は利用されている. 薬局で販売されている妊娠検査キットの, あるいは, 病院で行われるインフルエンザ感染の簡易診断のための色素が挙げられる. 金は“高価なもの”というイメージがあるが, 1グラム約3500円(2010年8月11日現在の金相場)であり, それを原料に金ナノ粒子を作製したとしても大きなコストはかからず, 安価な材料であると...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 130; no. 12; pp. 1671 - 1677
Main Authors 野瀬, 圭介, 大賀, 晃, 新留, 琢郎, 塩谷, 淳, 新留, 康郎, 秋山, 泰之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 2010
日本薬学会
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.130.1671

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Summary:「1. はじめに」球状金ナノ粒子は可視光域(500nm付近)に吸収を持ち, 赤い色素として古くから知られている. 1) 特にステンドグラスにみられる厳かな赤色は何百年経っても色槌せることはなく私たちの心を落ち着かせてくれる. 一方, 私たちの日常生活でも金ナノ粒子は利用されている. 薬局で販売されている妊娠検査キットの, あるいは, 病院で行われるインフルエンザ感染の簡易診断のための色素が挙げられる. 金は“高価なもの”というイメージがあるが, 1グラム約3500円(2010年8月11日現在の金相場)であり, それを原料に金ナノ粒子を作製したとしても大きなコストはかからず, 安価な材料であると言える. ちなみに, ドキソルビシンを試薬として購入しても, 5ミリグラムで1万円前後はする. 近年, この金ナノ粒子を病気の診断や治療に応用しようという研究が盛んになってきている. 暗視野顕微鏡を用いて, 金ナノ粒子を観察するとキラキラ輝きながらブラウン運動する様子が観察される.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.130.1671