SLEにおけるCD4+T細胞の細胞分裂とTh1/Th2サイトカインバランスの関係の検討

目的:活動性SLE患者において細胞分裂とCD4+T細胞のTh1/Th2バランスの関係を解析した。方法:活動期にあるSLE16例、健常者22例を対象とした。CFSEにて末梢血CD4+T細胞を予染しConAにて3日間刺激培養し細胞分裂を誘導した。PMA+Ionにて再刺激を行い、細胞内サイトカイン産生についてFACS解析を行った。CFSEの染色強度により細胞分裂回数を同定し、その分裂回数ごとのサイトカイン産生(IFN-gamma、IL-4、TNF-alpha)を解析した。 結果:分裂前のCD4+T細胞では、IFN-gの産生はコントロールと差がなかったが、IL-4の産生が亢進し、Th2に傾いていた。分...

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Published inNihon Rinsho Men'eki Gakkai Sokai Shorokushu Vol. 35; p. 88
Main Authors 三田村, 未央, 小荒田, 秀一, 末松, 梨絵, 井上, 久子, 多田, 芳史, 大田, 明英, 長澤, 浩平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2007
The Japan Society for Clinical Immunology
Subjects
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ISSN1880-3296
DOI10.14906/jscisho.35.0.88.0

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Summary:目的:活動性SLE患者において細胞分裂とCD4+T細胞のTh1/Th2バランスの関係を解析した。方法:活動期にあるSLE16例、健常者22例を対象とした。CFSEにて末梢血CD4+T細胞を予染しConAにて3日間刺激培養し細胞分裂を誘導した。PMA+Ionにて再刺激を行い、細胞内サイトカイン産生についてFACS解析を行った。CFSEの染色強度により細胞分裂回数を同定し、その分裂回数ごとのサイトカイン産生(IFN-gamma、IL-4、TNF-alpha)を解析した。 結果:分裂前のCD4+T細胞では、IFN-gの産生はコントロールと差がなかったが、IL-4の産生が亢進し、Th2に傾いていた。分裂を起こしたCD4+T細胞は 分裂初期(1-3分裂)は、IL-4の産生はコントロールと差がなかったが、IFN-gの産生が有意に低下し、やはりTh2が優位であった。分裂後期(4分裂以降)は、IFN-g、IL-4ともに正常と有意差を認めなかった。また、臓器障害による検討を行った。腎症+の症例で、分裂初期のTNF-a増加、分裂後期でのTh2優位が顕著であった。CNSループスでは、細胞増殖が亢進し、分裂初期でのIFN-gの増強がみられた。 結論:SLEでは、細胞増殖・分裂などのcell kineticsがTh1/Th2バランスに影響を与え、Th2反応が増強されると考えられた。臓器障害による差もみられ、腎症では分裂初期の炎症サイトカイン増加、後期のTh2優位が、CNSでは分裂初期のTh1優位が病態と関与している可能性が示唆された。
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ISSN:1880-3296
DOI:10.14906/jscisho.35.0.88.0