緊急手術にて救命しえた呼吸不全を伴う特発性横隔膜破裂の1例

特発性横隔膜破裂に対し緊急手術を施行し,救命しえた1例を経験したので報告する.症例は73歳の女性.嘔吐後に急激に呼吸困難が出現し前医を受診した.CTにて胃穹窿部の左胸腔内への脱出がみられた.呼吸不全が進行したため精査加療目的に当院へ搬入された.食道裂孔ヘルニア嵌頓と診断し,発症から20時間後に緊急手術を施行した.上腹部正中切開で開腹し左胸腔内へ脱出していた胃穹窿部を用手的に腹腔内へ整復した.食道裂孔左側に横隔膜破裂部を認めたため,特発性横隔膜破裂と診断し,同部を縫合閉鎖し手術を終了した.術後合併症はなく,第18病日に軽快退院した.特発性横隔膜破裂は極めて稀な疾患であり術前診断が困難であるが,画...

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Published in昭和学士会雑誌 Vol. 75; no. 2; pp. 227 - 231
Main Authors 山下, 剛史, 冨岡, 幸大, 青木, 武士, 大塚, 耕司, 村上, 雅彦, 山崎, 公靖, 五藤, 哲, 渡辺, 誠, 大野, 浩平, 有吉, 朋丈, 伊達, 博三, 藤森, 聰
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 2015
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ISSN2187-719X
2188-529X
DOI10.14930/jshowaunivsoc.75.227

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Summary:特発性横隔膜破裂に対し緊急手術を施行し,救命しえた1例を経験したので報告する.症例は73歳の女性.嘔吐後に急激に呼吸困難が出現し前医を受診した.CTにて胃穹窿部の左胸腔内への脱出がみられた.呼吸不全が進行したため精査加療目的に当院へ搬入された.食道裂孔ヘルニア嵌頓と診断し,発症から20時間後に緊急手術を施行した.上腹部正中切開で開腹し左胸腔内へ脱出していた胃穹窿部を用手的に腹腔内へ整復した.食道裂孔左側に横隔膜破裂部を認めたため,特発性横隔膜破裂と診断し,同部を縫合閉鎖し手術を終了した.術後合併症はなく,第18病日に軽快退院した.特発性横隔膜破裂は極めて稀な疾患であり術前診断が困難であるが,画像所見で胸腔内への消化管脱出が認められた場合は本疾患を念頭において早期の手術を行うことが重要と考えられた.
ISSN:2187-719X
2188-529X
DOI:10.14930/jshowaunivsoc.75.227