外因性リスク対策下での入院患者における転倒の内因性リスクの検討

我が国の急速な高齢化は転倒者人口の増加をまねき,社会保障費の増大を含む社会的な課題となっている.近年,再転倒の予防や転倒後の活動性の向上を目的の一つとして,入院中の積極的なリハビリテーション介入が行われている.入院患者においては病棟内移動自立の早期獲得は重要だが,自立度の判断については明確な基準がない状態である.そのため,転倒リスクを把握し軽減を図ることは重要であると考えられる.高齢者の転倒に関連するリスク要因は外因性と内因性に分けて整理され,先行研究において重要な予測因子が示されている.外因性リスクに関しては医療職者による管理が重要な位置を占めているため,我々は本研究を開始する前の段階で入院...

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Published in保健医療学雑誌 Vol. 13; no. 2; pp. 62 - 70
Main Authors 村浦, 広樹, 濵野, 友生, 田中, 繁治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 保健医療学学会 01.10.2022
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ISSN2185-0399
DOI10.15563/jalliedhealthsci.13.62

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Summary:我が国の急速な高齢化は転倒者人口の増加をまねき,社会保障費の増大を含む社会的な課題となっている.近年,再転倒の予防や転倒後の活動性の向上を目的の一つとして,入院中の積極的なリハビリテーション介入が行われている.入院患者においては病棟内移動自立の早期獲得は重要だが,自立度の判断については明確な基準がない状態である.そのため,転倒リスクを把握し軽減を図ることは重要であると考えられる.高齢者の転倒に関連するリスク要因は外因性と内因性に分けて整理され,先行研究において重要な予測因子が示されている.外因性リスクに関しては医療職者による管理が重要な位置を占めているため,我々は本研究を開始する前の段階で入院患者に対して外因性リスクの軽減を図るための対策を講じた.このように外因性リスクを低減した条件下においても転倒の問題が解決に至ることはなく,内因性リスクによる転倒の発生が散見された.そこで,本研究では外因性リスクへの対策を講じた環境における入院患者を対象に,内因性リスクと転倒との関連について検討を行った.対象者は80 名で,後方視的に調査を実施した.多重共線性を考慮した上で,転倒の有無と潜在的な予測因子との関係についてロジスティック回帰式を用いて分析した.その結果,うつの有無が統計学的に優位な要因として抽出された.うつに関するスクリーニング検査と治療は,転倒予防を行う上で有効である可能性が示唆された.
ISSN:2185-0399
DOI:10.15563/jalliedhealthsci.13.62