直腸癌に対するTaTMEの手術手技と安全性への工夫

【背景】下部直腸は解剖学的な空間制限があり経腹的なアプローチでは難易度が高い.TaTMEは下部直腸に対して近傍から操作が可能であるが,尿道損傷など合併症の危険性もある.【手術手技】腹腔鏡と経肛門的アプローチを2チームで定型化した手技で行う.肛門側切離線は腸管内腔から決定する.肛門側の気圧は15mmHgで行い,出血によるCO2塞栓に注意する.Transanal platformは内視鏡固定機とコネクターを介して固定する.双方向から立体的な緊張を加え腫瘍からの断端距離を確保する.【結果】当科で2015年から2020年において直腸癌に対しTaTMEを施行した26症例について検討した.直腸癌が24例,...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 75; no. 5; pp. 232 - 236
Main Authors 三宅, 亨, 植木, 智之, 小島, 正継, 清水, 智治, 谷, 眞至
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2022
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.75.232

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Summary:【背景】下部直腸は解剖学的な空間制限があり経腹的なアプローチでは難易度が高い.TaTMEは下部直腸に対して近傍から操作が可能であるが,尿道損傷など合併症の危険性もある.【手術手技】腹腔鏡と経肛門的アプローチを2チームで定型化した手技で行う.肛門側切離線は腸管内腔から決定する.肛門側の気圧は15mmHgで行い,出血によるCO2塞栓に注意する.Transanal platformは内視鏡固定機とコネクターを介して固定する.双方向から立体的な緊張を加え腫瘍からの断端距離を確保する.【結果】当科で2015年から2020年において直腸癌に対しTaTMEを施行した26症例について検討した.直腸癌が24例,直腸癌再発が2例であった.合併症は骨盤内膿瘍4例(15%)が最も多く,尿道損傷は認めなかった.【結語】定型化した手技による双方向手術により,尿道損傷など重篤な合併症を回避した手術が可能であった.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.75.232