全身性エリテマトーデス(SLE)における自己抗体産生RP105陰性B細胞のフェノタイプ解析

RP105はB細胞に発現するTLR関連分子でB細胞活性化と抑制の両面に関与していると考えられる。SLEではRP105陰性のB細胞が多数出現し、in vitroではRP105陰性B細胞が抗ds-DNA抗体を産生する。RP105陰性B細胞のフェノタイプ解析をFACSおよびDNAマイクロアレイを用いてタンパク質・mRNAレベルで行った。RP105陰性B細胞は、RP105陽性B細胞に比し、細胞径が増大し、CD95+、CD80+、CD38+、CD20-、CD27+であった。また、RP105陰性B細胞は細胞内にはRP105の存在がタンパクレベルで確認されたが共発現分子MD-1はmRNAレベルで欠損していた...

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Published inNihon Rinsho Men'eki Gakkai Sokai Shorokushu Vol. 36; p. 85
Main Authors 小荒田, 秀一, 三田村, 未央, 末松, 梨絵, 井上, 久子, 多田, 芳史, 大田, 明英, 長澤, 浩平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2008
The Japan Society for Clinical Immunology
Subjects
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ISSN1880-3296
DOI10.14906/jscisho.36.0.85.0

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Summary:RP105はB細胞に発現するTLR関連分子でB細胞活性化と抑制の両面に関与していると考えられる。SLEではRP105陰性のB細胞が多数出現し、in vitroではRP105陰性B細胞が抗ds-DNA抗体を産生する。RP105陰性B細胞のフェノタイプ解析をFACSおよびDNAマイクロアレイを用いてタンパク質・mRNAレベルで行った。RP105陰性B細胞は、RP105陽性B細胞に比し、細胞径が増大し、CD95+、CD80+、CD38+、CD20-、CD27+であった。また、RP105陰性B細胞は細胞内にはRP105の存在がタンパクレベルで確認されたが共発現分子MD-1はmRNAレベルで欠損していた。RP105陰性B細胞は、膜型免疫グロブリンは発現していなかったが、細胞内に豊富な免疫グロブリンを有していた。RP105陰性B細胞は、高度に活性化されたB細胞のフェノタイプを示し、分化段階としてplasmablastからplasma cellへ移行する細胞群で自己抗体を産生する新たなサブセットを形成していた。RP105の発現抑制にMD-1転写レベルでの障害が関与している可能性が示唆された。RP105はB細胞の免疫機能調整に関わる分子であり、B細胞におけるRP105分子の欠損は、SLEの自己抗体産生やB細胞持続活性化などの自己免疫病態に影響していると思われた。
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ISSN:1880-3296
DOI:10.14906/jscisho.36.0.85.0