淡明細胞型腎細胞癌に腫瘍内転移をきたした上行結腸癌の1例
症例は77歳の女性で,2023年5月に高血圧に対する治療を開始するために近医クリニックを受診した.胸部レントゲンにて右肺結節陰影を指摘され,6月に当院に紹介となった.精査の結果,転移性肺癌を伴う上行結腸癌,UICC(#8)Stage IVAに加え,右腎癌,UICC(#8)StageIの重複癌の診断であった.8月,腹腔鏡下右半結腸切除術+右腎摘出術を施行した.腎癌は最大径31mmの淡明細胞型腎細胞癌の組織型であったが,興味深いことにその腫瘍内に上行結腸癌の転移病変を認めた.転移性肺癌に対して全身化学療法を施行後,12月に胸腔鏡下右肺下葉切除術を施行した.現時点で再発の所見なく,順調に経過している...
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Published in | 日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 77; no. 5; pp. 286 - 294 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人日本大腸肛門病学会
2024
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0047-1801 1882-9619 |
DOI | 10.3862/jcoloproctology.77.286 |
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Summary: | 症例は77歳の女性で,2023年5月に高血圧に対する治療を開始するために近医クリニックを受診した.胸部レントゲンにて右肺結節陰影を指摘され,6月に当院に紹介となった.精査の結果,転移性肺癌を伴う上行結腸癌,UICC(#8)Stage IVAに加え,右腎癌,UICC(#8)StageIの重複癌の診断であった.8月,腹腔鏡下右半結腸切除術+右腎摘出術を施行した.腎癌は最大径31mmの淡明細胞型腎細胞癌の組織型であったが,興味深いことにその腫瘍内に上行結腸癌の転移病変を認めた.転移性肺癌に対して全身化学療法を施行後,12月に胸腔鏡下右肺下葉切除術を施行した.現時点で再発の所見なく,順調に経過している.腫瘍内転移は転移先の腫瘍内部に転移元の腫瘍が存在する稀な現象である.今回われわれは,腎癌に腫瘍内転移をきたした上行結腸癌の1例を経験し,文献的考察を含め報告する. |
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ISSN: | 0047-1801 1882-9619 |
DOI: | 10.3862/jcoloproctology.77.286 |