COVID-19陽性褥婦の母乳育児支援に関する症例報告

新型コロナウィルス感染症(以下,COVID-19陽性)の褥婦は新生児への感染予防のため,母乳育児にとって重要である早期からの母子接触,母子同室が困難な状況にある.A大学病院においても,新生児への感染の予防的措置として母子分離をしている.このような状況下において効果的な母乳育児支援の方法について検討する.本症例は30歳の1妊0産の褥婦,COVID-19陽性のため妊娠38週5日に腹式帝王切開術で2,973gの女児を娩出した.COVID-19陽性と診断され多くのストレスを抱えていた褥婦に対し,思いの傾聴をしながら母親としてできる搾乳という行動を促せたことは,母乳育児へ向き合うまでの支援として効果的で...

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Published in昭和学士会雑誌 Vol. 83; no. 5; pp. 340 - 347
Main Authors 三上, 里枝子, 峯尾, アヤ, 川嶋, 昌美, 上田, 邦枝, 宮田, 幸子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 2023
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ISSN2187-719X
2188-529X
DOI10.14930/jshowaunivsoc.83.340

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Summary:新型コロナウィルス感染症(以下,COVID-19陽性)の褥婦は新生児への感染予防のため,母乳育児にとって重要である早期からの母子接触,母子同室が困難な状況にある.A大学病院においても,新生児への感染の予防的措置として母子分離をしている.このような状況下において効果的な母乳育児支援の方法について検討する.本症例は30歳の1妊0産の褥婦,COVID-19陽性のため妊娠38週5日に腹式帝王切開術で2,973gの女児を娩出した.COVID-19陽性と診断され多くのストレスを抱えていた褥婦に対し,思いの傾聴をしながら母親としてできる搾乳という行動を促せたことは,母乳育児へ向き合うまでの支援として効果的であったと考える.また,母乳育児を継続するための支援として,①自己決定の尊重,②褥婦が母親としてできることを褥婦自身に認識できるようにする関わり,③母乳育児の困難感に対するコーピング行動への支援,④産後直後から生後4か月までの切れ目のない継続的な支援が重要であると考えられた.
ISSN:2187-719X
2188-529X
DOI:10.14930/jshowaunivsoc.83.340