会陰アプローチによる修復術術後に再燃した難治性直腸尿道瘻に対してYork-Mason法が有効であった1例

症例は76歳男性.前立腺癌に対して腹腔鏡下前立腺全摘術施行後10日目に気尿が出現し直腸尿道瘻と診断された.膀胱瘻およびS状結腸人工肛門を造設したが自然治癒に至らなかった.薄筋皮弁を用い会陰アプローチによる直腸尿道瘻修復術を施行したが直腸尿道瘻が再燃した.そのため経括約筋的アプローチであるYork-Mason法を施行したところ直腸尿道瘻は閉鎖した.瘻孔再燃のないことを確認し膀胱瘻および人工肛門とも閉鎖したが,直腸尿道瘻の再燃や排尿障害・排便障害を認めなかった.直腸尿道瘻は自然治癒するものもあるが,多くは瘻孔に対する修復術が必要となる.York-Mason法は直腸肛門管を瘻孔と対側である瘢痕のない...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 75; no. 6; pp. 297 - 301
Main Authors 三宅, 亨, 植木, 智之, 小島, 正継, 清水, 智治, 谷, 眞至
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2022
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.75.297

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Summary:症例は76歳男性.前立腺癌に対して腹腔鏡下前立腺全摘術施行後10日目に気尿が出現し直腸尿道瘻と診断された.膀胱瘻およびS状結腸人工肛門を造設したが自然治癒に至らなかった.薄筋皮弁を用い会陰アプローチによる直腸尿道瘻修復術を施行したが直腸尿道瘻が再燃した.そのため経括約筋的アプローチであるYork-Mason法を施行したところ直腸尿道瘻は閉鎖した.瘻孔再燃のないことを確認し膀胱瘻および人工肛門とも閉鎖したが,直腸尿道瘻の再燃や排尿障害・排便障害を認めなかった.直腸尿道瘻は自然治癒するものもあるが,多くは瘻孔に対する修復術が必要となる.York-Mason法は直腸肛門管を瘻孔と対側である瘢痕のない背側より切開するためアプローチが容易であり,瘻孔を直視下におき瘻孔切除や腸管修復が精緻に可能であるため,直腸尿道瘻に対して有用な術式と考えられた.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.75.297