既存治療抵抗性腸管Behcet's diseaseに対する抗TNF-α抗体Infliximabの有効性・安全性

Behcet's disease(BD)は、時に重篤な消化管病変を合併し腸管BDと呼ばれるが、確立された治療法は無く、有効な治療法が望まれる。今回我々は、既存治療抵抗性腸管BD16例に、抗TNF-α抗体Infliximab(IFX)を導入し、有効性・安全性を1年間検討した。IFX導入基準は、既存治療8週継続後も内視鏡検査で活動性潰瘍病変を認める、副作用により既存治療が使用・継続困難、CS減量に伴い再燃を繰り返すCS依存例とし、主要評価項目:IFX導入1年後の下部消化管内視鏡検査における潰瘍病変治癒率、副次評価項目:IFX導入1年後のDisease Activity Index for...

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Published inNihon Rinsho Men'eki Gakkai Sokai Shorokushu Vol. 39; p. 77
Main Authors 山岡, 邦宏, 岩田, 慈, 宮川, 一平, 澤向, 範文, 齋藤, 和義, 平田, 信太郎, 名和田, 雅夫, 田中, 良哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2011
The Japan Society for Clinical Immunology
Subjects
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ISSN1880-3296
DOI10.14906/jscisho.39.0.77.0

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Summary:Behcet's disease(BD)は、時に重篤な消化管病変を合併し腸管BDと呼ばれるが、確立された治療法は無く、有効な治療法が望まれる。今回我々は、既存治療抵抗性腸管BD16例に、抗TNF-α抗体Infliximab(IFX)を導入し、有効性・安全性を1年間検討した。IFX導入基準は、既存治療8週継続後も内視鏡検査で活動性潰瘍病変を認める、副作用により既存治療が使用・継続困難、CS減量に伴い再燃を繰り返すCS依存例とし、主要評価項目:IFX導入1年後の下部消化管内視鏡検査における潰瘍病変治癒率、副次評価項目:IFX導入1年後のDisease Activity Index for Intestinal Behcet Disease(DAIBD)に基づく疾患活動性改善効果及びCS減量効果とした。IFXは、3mg/kg (8週毎)で導入し、効果減弱例は、増量・短縮投与を行った。背景は、平均年齢41.5歳、男性/女性4/12例、HLA-B51陽性3例。8例は再燃歴、5例は腸管穿孔歴・手術歴を有していた。当科の特徴として全例MTX併用例であった。観察期間中、重篤な有害事象は認めず。1年後までの継続率は、87.5 %、2例は効果不良のためEtanerceptへ変更。主要評価項目の潰瘍治癒率は68.8%。副次評価項目に関して、平均DAIBD:78.4→27.5へ有意に低下(p<0.001)、sever:68.8%→12.5、Quiescent:6.3%→56.3%と改善。またChange Scores of DAIBDによる評価で、75.0%がbetter、12.5%がslightly betterに位置した。併用CSは、13.7mg/dayから2.6mg/dayに有意に減量(p=0.0145)された。腸管BDに対するIFX治療は、既存治療抵抗性であった腸管BD症例においても認容性の高い有効な治療選択なり得ると考えられた。
Bibliography:W9-5
ISSN:1880-3296
DOI:10.14906/jscisho.39.0.77.0