待機的に整復手術を試みた若年者腸回転異常症の1例

症例は16歳の男性で,幼少期から食べ過ぎると嘔気,嘔吐を来していたが,自然軽快するため医療機関は受診せず放置していた.今回は食後の嘔気が2週間持続するため,前医を受診した.上部消化管内視鏡検査で胃内に大量の残渣を認め,上部消化管の通過障害を疑われ,精査加療目的に当院へ紹介となった.腹部造影CTや経口胃十二指腸造影等の結果から,明らかな通過障害は認めずnonrotation型の中腸軸捻転を伴う腸回転異常症と診断した.検査所見,臨床所見の結果より腸管虚血を疑う所見が乏しいことから,絶食として保存的加療を選択した.その後腹部症状は改善するも,食事再開後に再度嘔吐を認め,腹腔鏡下にて軸捻転整復術を行う...

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Published in昭和学士会雑誌 Vol. 78; no. 6; pp. 682 - 687
Main Authors 田代, 良彦, 村上, 雅彦, 小澤, 慶彰, 野垣, 航二, 草野, 智一, 古泉, 友丈, 青木, 武士, 吉澤, 宗大, 冨岡, 幸大, 平井, 隆仁, 藤森, 聰, 箱崎, 智樹, 山崎, 達哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 2018
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ISSN2187-719X
2188-529X
DOI10.14930/jshowaunivsoc.78.682

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Summary:症例は16歳の男性で,幼少期から食べ過ぎると嘔気,嘔吐を来していたが,自然軽快するため医療機関は受診せず放置していた.今回は食後の嘔気が2週間持続するため,前医を受診した.上部消化管内視鏡検査で胃内に大量の残渣を認め,上部消化管の通過障害を疑われ,精査加療目的に当院へ紹介となった.腹部造影CTや経口胃十二指腸造影等の結果から,明らかな通過障害は認めずnonrotation型の中腸軸捻転を伴う腸回転異常症と診断した.検査所見,臨床所見の結果より腸管虚血を疑う所見が乏しいことから,絶食として保存的加療を選択した.その後腹部症状は改善するも,食事再開後に再度嘔吐を認め,腹腔鏡下にて軸捻転整復術を行う予定となった.腹腔内所見で小腸間膜間の癒着が強く開腹移行し,軸捻転を解除した.術後は良好に経過し,特に合併症無く退院となった.腸回転異常症の多くは乳児期に発見されるものが多いが,若年期以降に発見される症例も散見され,反復性の嘔吐や持続性の腹部症状を呈する症例では,本疾患も念頭に置くべきだと考えられる.
ISSN:2187-719X
2188-529X
DOI:10.14930/jshowaunivsoc.78.682