上行結腸印環細胞癌切除後再発例に対してFTD/TPI療法が奏効した1例

症例は80歳男性.健診で腫瘍マーカー上昇を指摘され当院を受診した.下部消化管内視鏡検査で上行結腸に0-IIa病変を認め,生検でadenocarcinoma(por/sig)が検出された.CT検査では多数の回盲部リンパ節腫大を認め,上行結腸癌cT1bN2bM0と診断して腹腔鏡下回盲部切除術を施行した.切除組織の漿膜下層に20mm大の腫瘤を認めたが,同部位は粘液癌の転移により腫大したリンパ節であった.追加切り出しで転移巣近くの上行結腸に1.5mm大の小さな印環細胞癌病巣が認められ,上行結腸癌pT3(Ly)N2bM0の診断とした.CAPOXによる補助化学療法後に傍大動脈リンパ節転移・腹膜播種再発を認...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 75; no. 8; pp. 409 - 414
Main Authors 内藤, 剛, 萩原, 千恵, 中西, 亮, 杉谷, 雅彦, 長田, 宏巳, 筒井, 敦子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2022
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.75.409

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Summary:症例は80歳男性.健診で腫瘍マーカー上昇を指摘され当院を受診した.下部消化管内視鏡検査で上行結腸に0-IIa病変を認め,生検でadenocarcinoma(por/sig)が検出された.CT検査では多数の回盲部リンパ節腫大を認め,上行結腸癌cT1bN2bM0と診断して腹腔鏡下回盲部切除術を施行した.切除組織の漿膜下層に20mm大の腫瘤を認めたが,同部位は粘液癌の転移により腫大したリンパ節であった.追加切り出しで転移巣近くの上行結腸に1.5mm大の小さな印環細胞癌病巣が認められ,上行結腸癌pT3(Ly)N2bM0の診断とした.CAPOXによる補助化学療法後に傍大動脈リンパ節転移・腹膜播種再発を認めたが,FTD/TPIに変更した後は腹膜播種が縮小し腫瘍マーカーが正常化した.大腸の印環細胞癌は稀で難治例が多いが,今回再発後の治療が奏効した症例を経験したため,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.75.409