上肢浮腫が前駆した脳梗塞の2例

一側上肢の浮腫が前駆した脳梗塞2例を経験した.症例は59歳, 73歳の男性.いずれも既往に高血圧症を有し, 一側上肢の浮腫が出没するため受診.一般理学的に上肢とくに手の puffy swelling 様の著しい浮腫および皮膚温低下が認められた.神経学的所見は正常.さらに経過中, 同側上肢の脱力が出現.上肢単麻痺を認め, 頭部X線CT上, 対側の前頭葉皮質中心前回上肢運動野に限局した梗塞巣がみられた.うち1例に脳血管写を行い, 中大脳動脈主幹部閉塞が認められた.脳梗塞に前駆してみられた上肢浮腫の発現機序として, 対側の前頭葉中心前回上肢支配領域に虚血が生じたための一過性の機能障害を推測した.本浮...

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Published in脳卒中 Vol. 11; no. 3; pp. 237 - 241
Main Authors 日野, 英忠, 丸山, 博志, 古橋, 紀久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 1989
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Summary:一側上肢の浮腫が前駆した脳梗塞2例を経験した.症例は59歳, 73歳の男性.いずれも既往に高血圧症を有し, 一側上肢の浮腫が出没するため受診.一般理学的に上肢とくに手の puffy swelling 様の著しい浮腫および皮膚温低下が認められた.神経学的所見は正常.さらに経過中, 同側上肢の脱力が出現.上肢単麻痺を認め, 頭部X線CT上, 対側の前頭葉皮質中心前回上肢運動野に限局した梗塞巣がみられた.うち1例に脳血管写を行い, 中大脳動脈主幹部閉塞が認められた.脳梗塞に前駆してみられた上肢浮腫の発現機序として, 対側の前頭葉中心前回上肢支配領域に虚血が生じたための一過性の機能障害を推測した.本浮腫は極めて稀な症候と考えられるが, 脳梗塞の前駆症状の可能性があり, 臨床上注意しておく必要がある.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.11.237