ゲムシタビン塩酸塩の経静脈投与による血管痛の危険因子の解析とNSAIDs・オピオイドによる予防効果の評価

「緒言」ゲムシタビン塩酸塩(GEM)は, 膵臓がん, 胆道がん, 肺がん, 乳がんなどの治療に用いられ, 良好な治療成績が報告されている1~2). GEMによる有害事象としては, 血小板減少等の重篤な骨髄抑制が挙げられるが, その毒性は一般的に軽度なものと考えられている. しかし, GEMに特徴的な有害事象として, 経静脈投与時の血管痛がある. これは, 生命を脅かす重篤な有害事象ではないが, GEM投与中の患者の苦痛が大きい場合もあり, 治療を継続する際の大きな問題となることがある. GEMによる血管痛の発現頻度は, 約30%との報告がみられるが3~4), 報告によりその発現頻度には違いがみ...

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Published in医療薬学 Vol. 38; no. 3; pp. 177 - 183
Main Authors 高林, 真貴子, 荒井, 國三, 崔, 吉道, 菅, 幸生, 日沖, 雅人, 石﨑, 純子, 橋本, 千明, 宮本, 謙一, 廣正, 瑛, 坂口, 百合野
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 2012
日本医療薬学会
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ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.38.177

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Summary:「緒言」ゲムシタビン塩酸塩(GEM)は, 膵臓がん, 胆道がん, 肺がん, 乳がんなどの治療に用いられ, 良好な治療成績が報告されている1~2). GEMによる有害事象としては, 血小板減少等の重篤な骨髄抑制が挙げられるが, その毒性は一般的に軽度なものと考えられている. しかし, GEMに特徴的な有害事象として, 経静脈投与時の血管痛がある. これは, 生命を脅かす重篤な有害事象ではないが, GEM投与中の患者の苦痛が大きい場合もあり, 治療を継続する際の大きな問題となることがある. GEMによる血管痛の発現頻度は, 約30%との報告がみられるが3~4), 報告によりその発現頻度には違いがみられる. また, GEMによる血管痛の予防方法としては, ホットパックを用いて血管を温める方法やGEMの溶解液を生理食塩液から5%ブドウ糖液への変更が行われている3~5). しかし, ホットパックや5%ブドウ糖液を使用しても強い血管痛が生じることもあり, 血管痛の予防対策は十分とは言い難い. このため, GEMによる血管痛を克服するためには, 鎮痛薬を血管痛の予防に用いるなど, これまでに実施されていない新しい血管痛の予防対策が必要である.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.38.177