中学生の学業領域における自己価値の随伴性が動機づけおよび学業達成に及ぼす影響プロセス 中間テストでの達成度を考慮に入れた縦断的検討

個人が特定の領域に自尊感情を随伴させている程度は,自己価値の随伴性と呼ばれる。これまで学業領域における自己価値の随伴性を扱った研究では,主にその抑制的な機能について扱われてきており,促進的な機能についての検討はあまりなされてこなかった。本研究では,自己価値の随伴性が動機づけや学業達成を促進することを予測し,これまで扱われてこなかった促進的な機能に着目した。中学生154名を対象に中間テストと期末テストを利用した3度の質問紙調査を行った。中間テストで達成度の低かった生徒のうち,自己価値の随伴性が高い生徒は,状態的自尊感情を低下させ,ネガティブ感情を高く喚起していた。さらに,ネガティブ感情は期末テス...

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Published inパーソナリティ研究 Vol. 21; no. 3; pp. 254 - 266
Main Authors 大谷, 和大, 中谷, 素之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本パーソナリティ心理学会 30.03.2013
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Summary:個人が特定の領域に自尊感情を随伴させている程度は,自己価値の随伴性と呼ばれる。これまで学業領域における自己価値の随伴性を扱った研究では,主にその抑制的な機能について扱われてきており,促進的な機能についての検討はあまりなされてこなかった。本研究では,自己価値の随伴性が動機づけや学業達成を促進することを予測し,これまで扱われてこなかった促進的な機能に着目した。中学生154名を対象に中間テストと期末テストを利用した3度の質問紙調査を行った。中間テストで達成度の低かった生徒のうち,自己価値の随伴性が高い生徒は,状態的自尊感情を低下させ,ネガティブ感情を高く喚起していた。さらに,ネガティブ感情は期末テストの成績と正の関連を有していた。一方で,中間テストで達成度の高かった生徒のうち,自己価値の随伴性が高い生徒は,状態的自尊感情とポジティブ感情を介することで,期末テストに正の影響を与えていた。
ISSN:1348-8406
1349-6174
DOI:10.2132/personality.21.254