進行下行結腸癌手術におけるリンパ節転移の分布および至適郭清範囲の検討
目的:進行下行結腸癌手術における至適リンパ節郭清の範囲について考察する.方法:2005年1月から2020年6月の期間に経験したpT2以深の進行下行結腸癌76症例を対象とし,郭清度毎に臨床病理学的特徴とリンパ節転移の範囲を比較した.さらに,pStageIVを除く57例に関し,術後3年間での再発様式を調査した.結果:術前の進行度分類に応じてD2またはD3郭清が選択されていた.D3郭清群において,下腸間膜動脈温存の有無は郭清リンパ節総数に影響しなかった.pT2で腸管傍リンパ節,pT3で中間リンパ節,pT4で主リンパ節への転移を認めた.術後3年の追跡で14症例に再発がみられたが,いずれもpT3以深の症...
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Published in | 日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 75; no. 3; pp. 99 - 107 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本大腸肛門病学会
2022
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0047-1801 1882-9619 |
DOI | 10.3862/jcoloproctology.75.99 |
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Summary: | 目的:進行下行結腸癌手術における至適リンパ節郭清の範囲について考察する.方法:2005年1月から2020年6月の期間に経験したpT2以深の進行下行結腸癌76症例を対象とし,郭清度毎に臨床病理学的特徴とリンパ節転移の範囲を比較した.さらに,pStageIVを除く57例に関し,術後3年間での再発様式を調査した.結果:術前の進行度分類に応じてD2またはD3郭清が選択されていた.D3郭清群において,下腸間膜動脈温存の有無は郭清リンパ節総数に影響しなかった.pT2で腸管傍リンパ節,pT3で中間リンパ節,pT4で主リンパ節への転移を認めた.術後3年の追跡で14症例に再発がみられたが,いずれもpT3以深の症例で,肝転移が最多で肺転移,腹膜播種,遠隔リンパ節再発がそれに続いた.結語:pT3以深の症例に対してはD3郭清が望ましいが,下腸間膜動脈温存の有無は郭清の質に影響を与えない可能性が考えられた. |
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ISSN: | 0047-1801 1882-9619 |
DOI: | 10.3862/jcoloproctology.75.99 |