手術治療に至った難治性機能性便排出障害型便秘症の1例

機能性便排出障害に対してバイオフィードバック療法をはじめとした保存的治療は有用とされる一方で手術適応については明確でない.われわれは,保存的治療無効な機能性便排出障害で著しくQOL低下をきたしたために外科的腸管切除を施行した症例を経験したので報告する.症例は71歳女性.10年前から便排出困難,著明な腹部膨満認め下剤使用も改善なく精査加療目的入院となる.排便造影検査にて便排出を認めず,大腸通過時間検査にて24時間後に不透過マーカーが直腸まで到達していることを確認.保存的治療を3ヵ月間施行も症状改善認めず,横行結腸双孔式人工肛門造設施行.腹部膨満改善するも人工肛門脱出を認めたため,腹腔鏡下左側結腸...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 75; no. 1; pp. 27 - 35
Main Authors 辻, 順行, 錦織, 英知, 久野, 三朗, 田口, 智章, 高野, 正博, 高野, 正太, 田渕, 聡, 伊禮, 靖苗, 桑原, 大作, 山田, 一隆, 吉丸, 耕一朗, 中村, 寧
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2022
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.75.27

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Summary:機能性便排出障害に対してバイオフィードバック療法をはじめとした保存的治療は有用とされる一方で手術適応については明確でない.われわれは,保存的治療無効な機能性便排出障害で著しくQOL低下をきたしたために外科的腸管切除を施行した症例を経験したので報告する.症例は71歳女性.10年前から便排出困難,著明な腹部膨満認め下剤使用も改善なく精査加療目的入院となる.排便造影検査にて便排出を認めず,大腸通過時間検査にて24時間後に不透過マーカーが直腸まで到達していることを確認.保存的治療を3ヵ月間施行も症状改善認めず,横行結腸双孔式人工肛門造設施行.腹部膨満改善するも人工肛門脱出を認めたため,腹腔鏡下左側結腸切除,直腸切除,横行結腸単孔式人工肛門造設術施行した.ストーマからの便排出良好で患者およびご家族の満足度も高い.患者QOLの向上への貢献を第一に考え,個々の症例に応じた手術術式を選択すべきであると考える.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.75.27