切除不能進行膵癌例に対する栄養療法の有用性

癌性悪液質は,定型的な栄養サポートでは完全に回復することが困難な進行性の骨格筋量減少を特徴とし,その結果身体機能低下をきたす多因性の症候群と定義されている.その病態は蛋白,エネルギー不足であり,蛋白質代謝の改善が重要である.切除不能進行膵癌では膵内外分泌機能低下にこの癌性悪液質の病態が加わり,著しい体重減少をきたし,その予後をさらに悪化させる.そこで今回我々は切除不能進行膵癌の予後を改善すべく成分栄養療法を施行し,体重安定化に対する効果と予後に対する影響について検討した.成分栄養療法を継続しえた群は,投与12週間後の体重安定化に成功し,生存期間の有意な延長を認めた.切除不能進行膵癌に対する成分...

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Published in膵臓 Vol. 27; no. 5; pp. 649 - 655
Main Authors 平松, 武, 宮原, 良二, 大宮, 直木, 鷲見, 肇, 舩坂, 好平, 中村, 正直, 中村, 陽介, 廣岡, 芳樹, 大野, 栄三郎, 川嶋, 啓揮, 林, 大樹朗, 伊藤, 彰浩, 後藤, 秀実, 杉本, 啓之, 伊藤, 裕也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 2012
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ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.27.649

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Summary:癌性悪液質は,定型的な栄養サポートでは完全に回復することが困難な進行性の骨格筋量減少を特徴とし,その結果身体機能低下をきたす多因性の症候群と定義されている.その病態は蛋白,エネルギー不足であり,蛋白質代謝の改善が重要である.切除不能進行膵癌では膵内外分泌機能低下にこの癌性悪液質の病態が加わり,著しい体重減少をきたし,その予後をさらに悪化させる.そこで今回我々は切除不能進行膵癌の予後を改善すべく成分栄養療法を施行し,体重安定化に対する効果と予後に対する影響について検討した.成分栄養療法を継続しえた群は,投与12週間後の体重安定化に成功し,生存期間の有意な延長を認めた.切除不能進行膵癌に対する成分栄養療法は,体重安定化を介し予後改善に寄与する有用な治療法の一つとなりうる.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.27.649