巨大な膵仮性嚢胞を伴った下部胆管癌の1例

要旨:症例は65歳の女性.2週間前より食欲不振,嘔吐を認め当院を受診.上腹部に超手拳大の弾性軟の腫瘤を触知し,血液検査で肝胆道系酵素の上昇を認めた.CA19-9は422 U/mlと高値であった.造影CTでは十二指腸第2部を圧排する巨大嚢胞を認め,下部胆管は壁肥厚狭窄を呈し,MRCPでも下部胆管は急峻に狭窄し,肝内胆管は拡張していた.また肝S4に接する14.5×7 cmの嚢胞を認めた.嚢胞穿刺液のアミラーゼ値は31073 IU/lと高値であった.巨大な膵仮性嚢胞を伴った下部胆管癌を疑い,膵頭十二指腸切除,SMV合併切除,嚢胞切除を施行した.病理組織所見では,下部胆管癌(高分化型管状腺癌)と診断さ...

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Published in胆道 Vol. 26; no. 4; pp. 615 - 620
Main Authors 伊東, 浩次, 有井, 滋樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2012
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ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.26.615

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Summary:要旨:症例は65歳の女性.2週間前より食欲不振,嘔吐を認め当院を受診.上腹部に超手拳大の弾性軟の腫瘤を触知し,血液検査で肝胆道系酵素の上昇を認めた.CA19-9は422 U/mlと高値であった.造影CTでは十二指腸第2部を圧排する巨大嚢胞を認め,下部胆管は壁肥厚狭窄を呈し,MRCPでも下部胆管は急峻に狭窄し,肝内胆管は拡張していた.また肝S4に接する14.5×7 cmの嚢胞を認めた.嚢胞穿刺液のアミラーゼ値は31073 IU/lと高値であった.巨大な膵仮性嚢胞を伴った下部胆管癌を疑い,膵頭十二指腸切除,SMV合併切除,嚢胞切除を施行した.病理組織所見では,下部胆管癌(高分化型管状腺癌)と診断され,嚢胞壁は上皮を欠き,仮性嚢胞の診断であった.本症例はcystic dystrophyも完全には否定できないが,病理学的に異所性膵は証明されず,下部胆管癌による膵頭部の分枝膵管閉塞による仮性膵嚢胞の形成が推測された.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.26.615