腰部脊柱管狭窄症手術例における骨粗鬆症の有病率と治療状況の検討
はじめに:超高齢社会の我が国では,脊椎手術を受ける患者も高齢化している.近年,術後合併症予防の観点から,術前の骨粗鬆症評価と介入が重要視されているが,評価と介入は十分とは言い難い.本研究では,腰部脊柱管狭窄症(LSS)症例の骨粗鬆症有病率と治療状況を調査し課題を検討した.対象と方法:2016年1月から2023年12月における当院のLSS手術例のうち,2椎間以内の除圧術または単椎間固定術を施行した145例を対象とした.術前に腰椎・大腿骨DEXA法で骨密度を測定し,全脊柱レントゲンで既存椎体骨折の有無を評価し,本邦ガイドラインに基づき骨粗鬆症診断を行い,有病率を算出した.さらに術前後の骨粗鬆症の治...
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Published in | Journal of Spine Research Vol. 16; no. 6; pp. 849 - 854 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会
20.06.2025
日本脊椎脊髄病学会 |
Subjects | |
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ISSN | 1884-7137 2435-1563 |
DOI | 10.34371/jspineres.2025-3025 |
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Summary: | はじめに:超高齢社会の我が国では,脊椎手術を受ける患者も高齢化している.近年,術後合併症予防の観点から,術前の骨粗鬆症評価と介入が重要視されているが,評価と介入は十分とは言い難い.本研究では,腰部脊柱管狭窄症(LSS)症例の骨粗鬆症有病率と治療状況を調査し課題を検討した.対象と方法:2016年1月から2023年12月における当院のLSS手術例のうち,2椎間以内の除圧術または単椎間固定術を施行した145例を対象とした.術前に腰椎・大腿骨DEXA法で骨密度を測定し,全脊柱レントゲンで既存椎体骨折の有無を評価し,本邦ガイドラインに基づき骨粗鬆症診断を行い,有病率を算出した.さらに術前後の骨粗鬆症の治療状況を男女間で比較した.結果:骨粗鬆症有病率は全体21.4%,男性14.6%,女性28.5%であり腰椎DEXA≦70%の症例は2.1%のみであった.男性では術前・術後とも治療介入率が低かった.結語:LSS患者は骨粗鬆症の有病率が一般コホートより高く,腰椎変性により腰椎DEXA法単独では,過小評価をする可能性がある.また男性例では治療が不十分であり,積極的な介入が求められる. |
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ISSN: | 1884-7137 2435-1563 |
DOI: | 10.34371/jspineres.2025-3025 |