肛門部扁平上皮癌に対する化学放射線療法の治療成績

目的:肛門部扁平上皮癌(SCC)に対する化学放射線療法(CRT)の治療効果を検討した.対象と方法:CRTが施行された肛門部SCC 15例を対象とし,その治療成績を後方視的に検討した.結果:全例が放射線治療を完遂しえたが,Grade 3以上の副作用を3例に認め,6例は化学療法を減量投与した.局所の治療効果は全例がCRであったが,4例(26.7%)に再発を認めた.化学療法の非減量例の再発は1例(10%)で,T2以下の非減量例では再発を認めなかった.再発部位はいずれも局所であった.再発までの期間が1年以内であった3例はいずれも化学療法の減量例であった.予後は原癌死を3例,他病死を3例に認めたが,再発...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 76; no. 1; pp. 1 - 7
Main Authors 佐藤, 美信, 荒川, 敏, 須田, 康一, 堀口, 明彦, 加藤, 宏之, 浅野, 之夫, 升森, 宏次, 小出, 欣和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2023
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.76.1

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Summary:目的:肛門部扁平上皮癌(SCC)に対する化学放射線療法(CRT)の治療効果を検討した.対象と方法:CRTが施行された肛門部SCC 15例を対象とし,その治療成績を後方視的に検討した.結果:全例が放射線治療を完遂しえたが,Grade 3以上の副作用を3例に認め,6例は化学療法を減量投与した.局所の治療効果は全例がCRであったが,4例(26.7%)に再発を認めた.化学療法の非減量例の再発は1例(10%)で,T2以下の非減量例では再発を認めなかった.再発部位はいずれも局所であった.再発までの期間が1年以内であった3例はいずれも化学療法の減量例であった.予後は原癌死を3例,他病死を3例に認めたが,再発手術後の1例を含む9例が無病生存中である.結語:肛門部SCCに対するCRTは安全に施行が可能で,根治が期待されるが,化学療法の減量例では早期の局所再発に配慮したフォローアップが必要と考えられた.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.76.1