人と野生動物の軋轢を緩和するための研究:長期モニタリングの重要性
「はじめに」このたびは, 2023年度日本哺乳類学会奨励賞を頂き, 大変光栄であるとともに, 今後に大きなプレシャーも感じている. これまでの奨励賞受賞者の原稿を読むと, 動物愛に溢れる内容ばかりで, 正直生き物にあまり興味がない私がこのような賞を受賞できたのも, 他の方々に少々申し訳ない気持ちである. 私の場合は, 哺乳類の生態を純粋に研究したいという思いよりも, 野生動物の問題解決に繋がる研究をしたいという思いが強かった. そのきっかけとなったのが, 東京農工大学(以下, 農工大)の1年生の実習である. この実習は, 野生動物の知識を持たない学生を, 猟区のある北海道西興部村や知床財団を中...
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Published in | 哺乳類科学 Vol. 65; no. 1; pp. 71 - 75 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本哺乳類学会
2025
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Summary: | 「はじめに」このたびは, 2023年度日本哺乳類学会奨励賞を頂き, 大変光栄であるとともに, 今後に大きなプレシャーも感じている. これまでの奨励賞受賞者の原稿を読むと, 動物愛に溢れる内容ばかりで, 正直生き物にあまり興味がない私がこのような賞を受賞できたのも, 他の方々に少々申し訳ない気持ちである. 私の場合は, 哺乳類の生態を純粋に研究したいという思いよりも, 野生動物の問題解決に繋がる研究をしたいという思いが強かった. そのきっかけとなったのが, 東京農工大学(以下, 農工大)の1年生の実習である. この実習は, 野生動物の知識を持たない学生を, 猟区のある北海道西興部村や知床財団を中心に野生動物の管理を進めている知床に連れて行き, ヒグマ(Ursus arctos)やニホンジカ(Cervus nippon;以下, シカ)による獣害問題や狩猟などを現場で学ぶ内容であった. |
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ISSN: | 0385-437X 1881-526X |
DOI: | 10.11238/mammalianscience.65.71 |