便秘に関与する薬剤が大腸憩室炎の重症度に及ぼす影響

目的:便秘に関与する薬剤が大腸憩室炎の重症度に及ぼす影響について検討した.方法:当院で初回治療を行った大腸憩室炎291例を対象とした.大腸憩室炎の重症度はModifiedHinchey分類を用いて,Ib~IVをComplicated diverticulitis(以下CD)とした.結果:多変量解析の結果,向精神薬はCDを増加させる因子であり(オッズ比6.55,95%信頼区間1.84-23.40),便秘薬はCDを減少させる因子であった(オッズ比0.12,95%信頼区間0.04-0.41).向精神薬の常用時に便秘薬を併用するとCDの発症が非併用時の77.8%から44.0%に減少した(P=0.034...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 76; no. 1; pp. 8 - 13
Main Authors 藤田, 昌久, 石川, 文彦, 釜田, 茂幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2023
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Summary:目的:便秘に関与する薬剤が大腸憩室炎の重症度に及ぼす影響について検討した.方法:当院で初回治療を行った大腸憩室炎291例を対象とした.大腸憩室炎の重症度はModifiedHinchey分類を用いて,Ib~IVをComplicated diverticulitis(以下CD)とした.結果:多変量解析の結果,向精神薬はCDを増加させる因子であり(オッズ比6.55,95%信頼区間1.84-23.40),便秘薬はCDを減少させる因子であった(オッズ比0.12,95%信頼区間0.04-0.41).向精神薬の常用時に便秘薬を併用するとCDの発症が非併用時の77.8%から44.0%に減少した(P=0.034).便秘薬の中では整腸薬の併用時にCDの発症が減少した(P=0.025).結論:向精神薬はCDを増加させるが,便秘薬を併用することで大腸憩室炎の重症度を軽減できる可能性がある.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.76.8