視運動性反応の初期成分

「はじめに」頭部運動時に良好な視覚を得るためには, 前庭器が体の動きを感知し, 瞬時に前庭動眼反射をおこして網膜上の像のブレを打ち消すとともに, 視運動性眼球運動が相補的に働くことが重要である. 視運動性眼球運動のうち, 視運動性反応(Optokinetic response; OKR)は, 視覚刺激に対する反応様式の違いから, 初期に急速増加する成分と緩やかに定常状態に達する応答成分の2つの成分に分けられる1). このうち刺激開始時の眼球運動成分は, 生体の精緻な感覚-運動制御機構を行動学的に理解するアプローチの1つとして, 基礎分野を中心に研究されている(図1)2)~3). 一方, 刺激開...

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Published inEquilibrium Research Vol. 71; no. 6; pp. 494 - 497
Main Author 清水, 直樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本めまい平衡医学会 2012
日本めまい平衡医学会
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ISSN0385-5716
1882-577X
DOI10.3757/jser.71.494

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Summary:「はじめに」頭部運動時に良好な視覚を得るためには, 前庭器が体の動きを感知し, 瞬時に前庭動眼反射をおこして網膜上の像のブレを打ち消すとともに, 視運動性眼球運動が相補的に働くことが重要である. 視運動性眼球運動のうち, 視運動性反応(Optokinetic response; OKR)は, 視覚刺激に対する反応様式の違いから, 初期に急速増加する成分と緩やかに定常状態に達する応答成分の2つの成分に分けられる1). このうち刺激開始時の眼球運動成分は, 生体の精緻な感覚-運動制御機構を行動学的に理解するアプローチの1つとして, 基礎分野を中心に研究されている(図1)2)~3). 一方, 刺激開始後数秒~数10秒後以降の反応である定常成分の眼球運動の観察は, 平衡機能検査の1つである視運動性眼振検査として広く臨床応用されている. 本稿では, まずこれまで霊長類を対象として研究されてきたOKRの初期成分に関する基本的性質を述べ, 次に近年明らかとなってきたマウスで得られた知見について述べる.
ISSN:0385-5716
1882-577X
DOI:10.3757/jser.71.494