類洞内播種性転移巣が示唆された肝細胞癌の1切除例
症例は61歳男性. 心窩部圧迫感で発症. HBs抗原, HCV抗体は陰性で, AFP 14600ng/ml, PIVKA-II 9334mAU/mlと高値. エコー検査で肝左葉に径14×13cm大の内部壊死を伴う腫瘍を認め, 造影CT検査にて内部は造影されず腫瘍周囲のみが造影された. 左葉に多数の肝内転移巣を認めた. 血管造影では腫瘍辺縁の濃染像と門脈左枝の途絶を認めた. 門脈腫瘍栓を伴い大部分が壊死に陥った肝細胞癌と考え, 肝左葉切除術を施行した. 切除標本では被膜のない黄白色充実性の塊状型で病理組織学的に中, 低分化型肝癌と診断され, 小葉内に微小転移巣と類洞内にび漫性に癌細胞を認め類洞内...
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Published in | 肝臓 Vol. 43; no. 3; pp. 154 - 158 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本肝臓学会
2002
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Subjects | |
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ISSN | 0451-4203 1881-3593 |
DOI | 10.2957/kanzo.43.154 |
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Summary: | 症例は61歳男性. 心窩部圧迫感で発症. HBs抗原, HCV抗体は陰性で, AFP 14600ng/ml, PIVKA-II 9334mAU/mlと高値. エコー検査で肝左葉に径14×13cm大の内部壊死を伴う腫瘍を認め, 造影CT検査にて内部は造影されず腫瘍周囲のみが造影された. 左葉に多数の肝内転移巣を認めた. 血管造影では腫瘍辺縁の濃染像と門脈左枝の途絶を認めた. 門脈腫瘍栓を伴い大部分が壊死に陥った肝細胞癌と考え, 肝左葉切除術を施行した. 切除標本では被膜のない黄白色充実性の塊状型で病理組織学的に中, 低分化型肝癌と診断され, 小葉内に微小転移巣と類洞内にび漫性に癌細胞を認め類洞内播種という特殊な転移機序が想起された. その後, 多発残肝再発, 脾転移を来し約2カ月後死亡された. 本症例の如く類洞内播種性転移を示す症例では残肝再発や遠隔転移を来し予後不良と推察された. |
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ISSN: | 0451-4203 1881-3593 |
DOI: | 10.2957/kanzo.43.154 |