閉鎖孔へルニア嵌頓によるイレウスに対してDirect Kugel法が有効であった1例

症例は85歳女性。前日夕方から嘔吐,左下腹部痛が出現し,翌日16時に救急車で来院した。左下腹部に圧痛を認めたが,反跳痛や筋性防御などの腹膜刺激症状は認めなかった。腹部CT上,小腸の左閉鎖孔への嵌頓および口側の小腸拡張像を認めた。左閉鎖孔ヘルニア小腸嵌頓によるイレウスと診断した。超音波ガイド下に整復を試みたが改善せず,緊急手術を施行した。鼠径法でアプローチし,嵌頓したヘルニア嚢を確認,腹膜を切開し腹腔を開放,嵌頓小腸に虚血壊死の所見は認められなかったため,Direct Kugel法で修復した。鼠径法でも直視下に閉鎖孔を確認でき,小腸を十分に観察し,低侵襲で手術を行うことができた。Direct K...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 31; no. 5; pp. 793 - 796
Main Authors 松永, 宗倫, 野口, 琢矢, 藍澤, 哲也, 久保, 宣博, 野口, 剛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2011
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Summary:症例は85歳女性。前日夕方から嘔吐,左下腹部痛が出現し,翌日16時に救急車で来院した。左下腹部に圧痛を認めたが,反跳痛や筋性防御などの腹膜刺激症状は認めなかった。腹部CT上,小腸の左閉鎖孔への嵌頓および口側の小腸拡張像を認めた。左閉鎖孔ヘルニア小腸嵌頓によるイレウスと診断した。超音波ガイド下に整復を試みたが改善せず,緊急手術を施行した。鼠径法でアプローチし,嵌頓したヘルニア嚢を確認,腹膜を切開し腹腔を開放,嵌頓小腸に虚血壊死の所見は認められなかったため,Direct Kugel法で修復した。鼠径法でも直視下に閉鎖孔を確認でき,小腸を十分に観察し,低侵襲で手術を行うことができた。Direct Kugel法は閉鎖孔ヘルニア嵌頓に対しても安全で有用であると考えられた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.31.793