Bow hunter syndromeに対して後頭骨頸椎後方固定を行った1例

はじめに:環軸椎変型性関節症による頸髄症に対して環椎後弓切除術を行った後にBow hunter syndromeを発症したため,後頭骨頸椎後方固定術(Oc-C3)を行った1例を報告する.症例:59歳男性.6年前に環軸椎変形性関節症による頸髄症に対して環椎後弓切除術を受けた.左眼視野障害,構音障害,右上下肢運動障害,ふらつきで紹介医に救急搬送され,MRI/MRAで環椎レベルでの両側の椎骨動脈狭窄,小脳梗塞および後頭葉梗塞を認めた.血管造影で頸部の右回旋位で両側椎骨動脈の完全閉塞を認めたため,環軸椎変形性関節症に伴うBow hunter syndromeと診断された.頭蓋内ステント留置術や頭蓋内血...

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Published inJournal of Spine Research Vol. 15; no. 7; pp. 1041 - 1047
Main Authors 姜, 聖清, 井上, 知久, 和田, 圭司, 岡崎, 賢
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会 20.07.2024
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Summary:はじめに:環軸椎変型性関節症による頸髄症に対して環椎後弓切除術を行った後にBow hunter syndromeを発症したため,後頭骨頸椎後方固定術(Oc-C3)を行った1例を報告する.症例:59歳男性.6年前に環軸椎変形性関節症による頸髄症に対して環椎後弓切除術を受けた.左眼視野障害,構音障害,右上下肢運動障害,ふらつきで紹介医に救急搬送され,MRI/MRAで環椎レベルでの両側の椎骨動脈狭窄,小脳梗塞および後頭葉梗塞を認めた.血管造影で頸部の右回旋位で両側椎骨動脈の完全閉塞を認めたため,環軸椎変形性関節症に伴うBow hunter syndromeと診断された.頭蓋内ステント留置術や頭蓋内血管バイパス術の適応を検討されたが,再狭窄および脳梗塞の再燃の危険性が高いため適応外と判断され,脳梗塞の再発予防のために手術加療が必要と判断されたため当院紹介となった.ハローベスト装着により後頭骨-頸椎を固定した状態で造影CTを撮影したところ椎骨動脈の血流が改善したため,後頭骨頸椎後方固定術(Oc-C3)を行った.術後半年後のCTで骨癒合良好であり,脳梗塞の再発を認めていない.結語:Bow hunter syndromeの症例に対して後頭骨頸椎後方固定術(Oc-C3)を行い,脳梗塞の再発を予防した.
ISSN:1884-7137
2435-1563
DOI:10.34371/jspineres.2024-0710