ヒト肝細胞の大きさとploidyの加齢に伴う変化-正常二核細胞について

正常肝にみられる二核肝細胞の生物学的意義は未だ不明な点が多い.これに関する形態学的研究は少なく,特にヒトについては稀である.本研究は,剖検で得られたうっ血以外著変のみられない16~100歳のヒト肝の分離細胞塗抹標本(非急死10例)と組織標本(急死35例)を用いて,二核肝細胞の核と細胞の大きさ,核DNA量(ploidy),出現頻度などを自動映像分析装置(QTM-720),自動顕微分光測光計(SMP),光学顕微鏡で測定しこれらの加齢に伴う変化を検討した.その結果,二核肝細胞の同一細胞内にみられる二つの核は大きさやDNA量(ploidy)で差はなく又単核肝細胞の核と比較しても差はない.細胞の大きさは...

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Published in肝臓 Vol. 25; no. 7; pp. 833 - 841
Main Author 渡辺, 俊允
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 1984
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.25.833

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Summary:正常肝にみられる二核肝細胞の生物学的意義は未だ不明な点が多い.これに関する形態学的研究は少なく,特にヒトについては稀である.本研究は,剖検で得られたうっ血以外著変のみられない16~100歳のヒト肝の分離細胞塗抹標本(非急死10例)と組織標本(急死35例)を用いて,二核肝細胞の核と細胞の大きさ,核DNA量(ploidy),出現頻度などを自動映像分析装置(QTM-720),自動顕微分光測光計(SMP),光学顕微鏡で測定しこれらの加齢に伴う変化を検討した.その結果,二核肝細胞の同一細胞内にみられる二つの核は大きさやDNA量(ploidy)で差はなく又単核肝細胞の核と比較しても差はない.細胞の大きさはそれが有する核(二核の和)の大きさと比例し,又二つの核のploidyの和と同じploidy classの核をもつ単核肝細胞の大きさと同じである.二核肝細胞の出現頻度やpolyploidizationに伴う巨大二核肝細胞の出現は加齢とともに増加するなどの結論を得た.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.25.833