肝疾患

経腸栄養法を必要とする肝疾患は劇症肝炎で代表される急性肝不全と、肝硬変で代表される慢性肝不全である。劇症肝炎では肝性脳症が覚醒して経口摂取が可能になった時点から、肝臓予備能や血液アンモニア濃度などを参考にしながら分岐鎖アミノ酸 (BCAA) を多く含有する肝不全用経腸栄養剤を少量より開始する。肝硬変でも経腸栄養法として肝不全用経腸栄養剤を経口的に用いる。肝硬変ではタンパク質・エネルギー栄養不良の頻度が高く、欧米・本邦でのガイドラインでもBCAA製剤による肝硬変への栄養療法が推奨されている。エネルギー代謝異常に対する夜間の軽食摂取療法やタンパクアミノ酸代謝異常に対するBCAAの補充の面からも肝不...

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Published in静脈経腸栄養 Vol. 27; no. 2; pp. 651 - 656
Main Authors 近藤, 公亮, 遠藤, 龍人, 鈴木, 一幸, 加藤, 章信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本静脈経腸栄養学会 2012
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ISSN1344-4980
1881-3623
DOI10.11244/jjspen.27.651

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Summary:経腸栄養法を必要とする肝疾患は劇症肝炎で代表される急性肝不全と、肝硬変で代表される慢性肝不全である。劇症肝炎では肝性脳症が覚醒して経口摂取が可能になった時点から、肝臓予備能や血液アンモニア濃度などを参考にしながら分岐鎖アミノ酸 (BCAA) を多く含有する肝不全用経腸栄養剤を少量より開始する。肝硬変でも経腸栄養法として肝不全用経腸栄養剤を経口的に用いる。肝硬変ではタンパク質・エネルギー栄養不良の頻度が高く、欧米・本邦でのガイドラインでもBCAA製剤による肝硬変への栄養療法が推奨されている。エネルギー代謝異常に対する夜間の軽食摂取療法やタンパクアミノ酸代謝異常に対するBCAAの補充の面からも肝不全用経腸栄養剤による経腸栄養法が用いられている。また肝癌を伴う肝硬変に対しても経腸栄養法が試みられている。
ISSN:1344-4980
1881-3623
DOI:10.11244/jjspen.27.651