大酒家肝硬変に発生した多発性肝過形成結節の1例

34歳, 女性. 吐血を主訴に来院. 食道静脈瘤破裂の診断にて, 食道静脈瘤結紮術(EVL) 施行. 入院後, スクリーニングにて, アルコール多飲による著しい肝予備能低下及び肝両葉に多発する腫瘍を指摘. Dynamic CT動脈相で高吸収, 門脈相で等~低吸収を示し, 腹部血管造影で腫瘍濃染を認め, 腫瘍への lipiodol 集積を認めたことから肝細胞癌を強く疑った. しかし, MRIのT1強調像では高信号であり, 経静脈性の造影USでは後期相で欠損像を示さず周りのエコーレベルと変わらなかったことは, 古典的肝細胞癌に合致しなかった. 超音波誘導下の腫瘍生検では, 細胞密度の軽度の増加はみ...

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Published in肝臓 Vol. 42; no. 4; pp. 203 - 209
Main Authors 高松, 正剛, 国立, 裕之, 友野, 尚美, 清水, 達夫, 喜多, 竜一, 圓尾, 隆典, 木村, 達, 大崎, 往夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2001
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.42.203

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Summary:34歳, 女性. 吐血を主訴に来院. 食道静脈瘤破裂の診断にて, 食道静脈瘤結紮術(EVL) 施行. 入院後, スクリーニングにて, アルコール多飲による著しい肝予備能低下及び肝両葉に多発する腫瘍を指摘. Dynamic CT動脈相で高吸収, 門脈相で等~低吸収を示し, 腹部血管造影で腫瘍濃染を認め, 腫瘍への lipiodol 集積を認めたことから肝細胞癌を強く疑った. しかし, MRIのT1強調像では高信号であり, 経静脈性の造影USでは後期相で欠損像を示さず周りのエコーレベルと変わらなかったことは, 古典的肝細胞癌に合致しなかった. 超音波誘導下の腫瘍生検では, 細胞密度の軽度の増加はみられるものの, 細胞異型はみられず, 過形成結節と診断された.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.42.203