Kasabach-Merritt 症候群を呈し, 増大過程を逆追跡しえた肝血管肉腫の1例

症例は70歳, 男性. 血小板減少とDICの精査目的で入院. 肝右葉に急速に増大傾向のみられる腫瘍を指摘され精査を施行. 同病変はCTでは不規則に造影され, 血管造影ならびにCTAでは多彩な内部構造と血行動態を呈し, 肝両葉に転移巣も認め, 経過からも肝原発の血管原性悪性腫瘍と診断した. 腫瘍内出血による血小板減少と fibrinogen 消費の緩和を目的として, 経動脈的塞栓術を施行したが一時的な効果のみしか得られず, 2カ月後に腫瘍破裂による出血性ショックにより死亡した. 剖検の結果, 病理組織学的に肝血管肉腫と確定診断され, 内部には多数のフィブリン血栓が認められた. Kasabach-...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in肝臓 Vol. 42; no. 4; pp. 210 - 216
Main Authors 姜, 貞憲, 辻, 邦彦, 吉田, 晴恒, 桜井, 康雄, 前久保, 博士, 吉田, 純一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2001
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.42.210

Cover

More Information
Summary:症例は70歳, 男性. 血小板減少とDICの精査目的で入院. 肝右葉に急速に増大傾向のみられる腫瘍を指摘され精査を施行. 同病変はCTでは不規則に造影され, 血管造影ならびにCTAでは多彩な内部構造と血行動態を呈し, 肝両葉に転移巣も認め, 経過からも肝原発の血管原性悪性腫瘍と診断した. 腫瘍内出血による血小板減少と fibrinogen 消費の緩和を目的として, 経動脈的塞栓術を施行したが一時的な効果のみしか得られず, 2カ月後に腫瘍破裂による出血性ショックにより死亡した. 剖検の結果, 病理組織学的に肝血管肉腫と確定診断され, 内部には多数のフィブリン血栓が認められた. Kasabach-Merritt 症候群を伴った肝血管肉腫はまれであり, その増大経過を逆追跡しえたことから興味深い症例と思われ報告した.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.42.210