クモ状血管拡張からの拍動性出血を繰り返した大酒家肝細胞癌の1症例

症例は非代償期 (約7年間) の非B非C型肝硬変に肝細胞癌を合併した77歳, 男性である. 飲酒歴は日本酒3合/日, 50年間. 顔面, 後頭部, 頸部および前胸部に発達したクモ状血管拡張 (クモ状血管腫) から内科的に止血困難な拍動性出血が繰り返し生じた. クモ状血管拡張は中央に隆起と痂皮を伴うクモ状の毛細血管拡張であり, 真皮内の拡張蛇行する動静脈吻合に連続していた. 動静脈吻合部血管には, 内弾性板の断裂, 消失および中膜の部分的菲薄化, 肥厚がみられ, 出血の原因となったことを窺わせる血管壁の破綻も認められた. 肝臓 (740g) は複小葉性の大型の偽小葉からなる肝硬変であり, 母指頭...

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Published in肝臓 Vol. 41; no. 4; pp. 281 - 285
Main Authors 栗栖, 義賢, 福田, 彰, 竹下, 篤, 安田, 恵美, 福西, 恵一, 黒川, 晃夫, 津田, 泰宏, 成山, 硬, 江頭, 由太郎, 芝山, 雄老, 宮崎, 憲彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2000
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.41.281

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Summary:症例は非代償期 (約7年間) の非B非C型肝硬変に肝細胞癌を合併した77歳, 男性である. 飲酒歴は日本酒3合/日, 50年間. 顔面, 後頭部, 頸部および前胸部に発達したクモ状血管拡張 (クモ状血管腫) から内科的に止血困難な拍動性出血が繰り返し生じた. クモ状血管拡張は中央に隆起と痂皮を伴うクモ状の毛細血管拡張であり, 真皮内の拡張蛇行する動静脈吻合に連続していた. 動静脈吻合部血管には, 内弾性板の断裂, 消失および中膜の部分的菲薄化, 肥厚がみられ, 出血の原因となったことを窺わせる血管壁の破綻も認められた. 肝臓 (740g) は複小葉性の大型の偽小葉からなる肝硬変であり, 母指頭大以下の中分化型肝細胞癌の結節が散在性に認められた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.41.281