経過中に間質性肺炎を併発した急性C型肝炎の1例

症例は65歳男性. 顔面神経麻痺にて耳鼻科に入院した. ステロイド療法後に著明な肝胆道系酵素の上昇を認め, 当科に転科となった. HCV-RNA陽性, HCV抗体, その他の肝炎ウイルスマーカー, 自己抗体はいずれも陰性であり急性C型肝炎と診断した. トランスアミナーゼ値は約3週間で正常化し, HCV-RNAも陰性化したものの高ビリルビン血症, 低アルブミン血症, およびプロトロンビン時間の延長が徐々に進行した. 一方, 同時期より呼吸困難感と低酸素血症が出現し, 胸部X線で両肺に広範な非区域性の淡い肺野濃度の上昇を認め, 間質性肺炎と診断した. 呼吸不全に対してステロイドパルス療法と続いてプ...

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Published in肝臓 Vol. 44; no. 8; pp. 395 - 400
Main Authors 吉田, 友彦, 大場, 信之, 齋藤, 剛, 三上, 哲弥, 水口, 泰宏, 三田村, 圭二, 市井, 統, 児島, 辰也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2003
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.44.395

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Summary:症例は65歳男性. 顔面神経麻痺にて耳鼻科に入院した. ステロイド療法後に著明な肝胆道系酵素の上昇を認め, 当科に転科となった. HCV-RNA陽性, HCV抗体, その他の肝炎ウイルスマーカー, 自己抗体はいずれも陰性であり急性C型肝炎と診断した. トランスアミナーゼ値は約3週間で正常化し, HCV-RNAも陰性化したものの高ビリルビン血症, 低アルブミン血症, およびプロトロンビン時間の延長が徐々に進行した. 一方, 同時期より呼吸困難感と低酸素血症が出現し, 胸部X線で両肺に広範な非区域性の淡い肺野濃度の上昇を認め, 間質性肺炎と診断した. 呼吸不全に対してステロイドパルス療法と続いてプレドニゾロンの漸減投与を行ったところ症状, 肺病変は著明に改善し, 肝機能も徐々に正常化した. ステロイド中止後も再増悪はみられなかった. 最近HCVの肝外病変に関する報告が増加してきたが, 本症例のように急性肝炎に間質性肺炎が合併したとの報告はなく極めてまれである.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.44.395