シス-1,4-ポリブタジエンのオゾン劣化メカニズム解析

ジエン系ゴムは,大気中のオゾンによって,その表面にクラックが入ることが古くから知られているが,その反応機構やクラック生成メカニズムは不明である.本研究では,シス-1,4ポリブタジエンのオゾン劣化生成物の特定とクラックの発生機構解明を目的に分子シミュレーションを行った.その結果,無伸長時にはオゾンによって切断したポリマー中C=C結合が再結合しオゾニドとなった後,水酸化エステル化すると予測された.また伸長時には切断したC=C結合は再結合に至らず,分子量の低下を引き起こすと予測された.これらシミュレーション結果をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)から検証したところ,伸長状態では分子切断が進行してお...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in高分子論文集 Vol. 69; no. 4; pp. 154 - 159
Main Authors 深澤, 清文, 青柳, 裕一, 菊地, 洋昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 高分子学会 2012
Online AccessGet full text
ISSN0386-2186
1881-5685
DOI10.1295/koron.69.154

Cover

More Information
Summary:ジエン系ゴムは,大気中のオゾンによって,その表面にクラックが入ることが古くから知られているが,その反応機構やクラック生成メカニズムは不明である.本研究では,シス-1,4ポリブタジエンのオゾン劣化生成物の特定とクラックの発生機構解明を目的に分子シミュレーションを行った.その結果,無伸長時にはオゾンによって切断したポリマー中C=C結合が再結合しオゾニドとなった後,水酸化エステル化すると予測された.また伸長時には切断したC=C結合は再結合に至らず,分子量の低下を引き起こすと予測された.これらシミュレーション結果をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)から検証したところ,伸長状態では分子切断が進行しており,これによりオゾンクラックが発生したことがわかった.
ISSN:0386-2186
1881-5685
DOI:10.1295/koron.69.154