化学物質の環境動態とリスク評価

「GIS多媒体モデルによる曝露評価の試みと意味」1-1. 概要 改めて述べるまでもなく, 化学物質の濃度は地点によって大きく異なり, 明らかな地理的な濃淡一空間分布が存在する. これに対し, 大気汚染物質等では, 曝露量の空間分布を考慮する試みは既に行われてきているが, 一般に大気, 水, 土壌, 底質など複数の媒体をまたがる動態を示す一般の化学物質については, これまで空間分布を考慮した曝露解析はあまり行われてきていない. また, 大気の場合と異なり, 例えば食品のように環境汚染の状況からさらに魚類や作物, 流通等の要因を経ての間接曝露を受ける場合についての解析は, 例えば大気汚染物質で想定...

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Published inYAKUGAKU ZASSHI Vol. 127; no. 3; pp. 437 - 447
Main Author 鈴木, 規之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本薬学会 2007
日本薬学会
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ISSN0031-6903
1347-5231
DOI10.1248/yakushi.127.437

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Summary:「GIS多媒体モデルによる曝露評価の試みと意味」1-1. 概要 改めて述べるまでもなく, 化学物質の濃度は地点によって大きく異なり, 明らかな地理的な濃淡一空間分布が存在する. これに対し, 大気汚染物質等では, 曝露量の空間分布を考慮する試みは既に行われてきているが, 一般に大気, 水, 土壌, 底質など複数の媒体をまたがる動態を示す一般の化学物質については, これまで空間分布を考慮した曝露解析はあまり行われてきていない. また, 大気の場合と異なり, 例えば食品のように環境汚染の状況からさらに魚類や作物, 流通等の要因を経ての間接曝露を受ける場合についての解析は, 例えば大気汚染物質で想定されるような直接曝露の取り扱いとは全く異なった方法が必要となるが, そのような視点での検討も進んでいない. 本稿では, 化学物質の空間濃度分布を解析するためのGIS多媒体モデル, また, この結果を曝露評価に結び付けることを意図した, 環境汚染の濃度分布を考慮した魚介類からの曝露推定に関するわれわれの試みを述べ, 化学物質の環境動態と曝露評価に関する今後の可能性を紹介したい.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.127.437