身体的可能感についての現象学的考察 できる〉と〈できない〉の相互作用に着目して

「I 序論」「1. 研究目的と問題の所在」本研究の目的は, 運動・スポーツ実践への意欲的な取り組みを左右する「身体的可能感」の成り立ちを明らかにすることである. そのために, 運動・スポーツ実践に対する意欲がどのように形成されるのか, ということについて, 「身体的可能感」を構成する〈できる〉と〈できない〉の相互作用に着目し, 現象学的な立場から考察する. 「身体的可能感」という語は, 運動・スポーツ実践者が, 「『できない』と判断していたことを, 『できる』と判断するようになる」 (田中, 2010, 36) 変容の契機として, 田中 (2010) が使用している語である. その際, この語...

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Published in体育学研究 Vol. 65; pp. 997 - 1014
Main Author 田中, 愛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本体育学会 2020
日本体育学会
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Summary:「I 序論」「1. 研究目的と問題の所在」本研究の目的は, 運動・スポーツ実践への意欲的な取り組みを左右する「身体的可能感」の成り立ちを明らかにすることである. そのために, 運動・スポーツ実践に対する意欲がどのように形成されるのか, ということについて, 「身体的可能感」を構成する〈できる〉と〈できない〉の相互作用に着目し, 現象学的な立場から考察する. 「身体的可能感」という語は, 運動・スポーツ実践者が, 「『できない』と判断していたことを, 『できる』と判断するようになる」 (田中, 2010, 36) 変容の契機として, 田中 (2010) が使用している語である. その際, この語は「何事かをできるかどうか判断する際, 〈私〉が明確に意識せずに保持している, 能力についての自信」 (田中, 2010, 29) であると述べられている. この無自覚な感じとしての「身体的可能感」は, 運動・スポーツ実践に対する意欲的な態度の形成を明らかにする手がかりとして重要な概念ではあるが, しかし, 「できる」についての踏み込んだ考察はなされておらず, できないことができるようになることの連続性を踏まえた上で両者の関係を明らかにするには至っていない.
ISSN:0484-6710
1881-7718
DOI:10.5432/jjpehss.20023