ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群患児においてミゾリビンが著効しなかった要因は何か?
ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群を発症した3歳女児の治療に免疫抑制薬,ミゾリビン (MZR) を9.5mg/kg/日で投与したが臨床効果が得られず,最高血中濃度 (Cmax) も1.07μg/mlと低値であった。その要因を検討した結果,見かけ上の分布容積 (Vd/F) は5.97l/kg,尿中排泄率 (fu) は17.4%であり,真の分布容積 (Vd) は1.04l/kgであることが判明した。Vd値はMZRが水溶性薬物であることと矛盾せず,MZRの吸収不良が有効な血中濃度に到達しなかった要因と判断された。MZRのfuは生体内利用率あるいは吸収率に相当するパラメータと考えられ,fuが小さい時はV...
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Published in | 日本小児腎臓病学会雑誌 Vol. 25; no. 1; pp. 35 - 41 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
15.04.2012
日本小児腎臓病学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0915-2245 1881-3933 |
DOI | 10.3165/jjpn.25.35 |
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Summary: | ステロイド抵抗性ネフローゼ症候群を発症した3歳女児の治療に免疫抑制薬,ミゾリビン (MZR) を9.5mg/kg/日で投与したが臨床効果が得られず,最高血中濃度 (Cmax) も1.07μg/mlと低値であった。その要因を検討した結果,見かけ上の分布容積 (Vd/F) は5.97l/kg,尿中排泄率 (fu) は17.4%であり,真の分布容積 (Vd) は1.04l/kgであることが判明した。Vd値はMZRが水溶性薬物であることと矛盾せず,MZRの吸収不良が有効な血中濃度に到達しなかった要因と判断された。MZRのfuは生体内利用率あるいは吸収率に相当するパラメータと考えられ,fuが小さい時はVd/Fが著しく大きく算出される。本症例のようにVd/Fが高値あるいはCmaxやfuが低値の場合にはMZRの吸収不良を背景に高用量のMZRでも有効血中濃度を得られない可能性が示唆された。 |
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ISSN: | 0915-2245 1881-3933 |
DOI: | 10.3165/jjpn.25.35 |