人体の組織分類と結合組織について

人体の構造と機能を学ぶ学問(解剖生理学)は、医学の基礎(基礎医学)であり、医療専門職(コ・メディカル)全体の必須科目である。この科目の重要性から、最近では様々な教育媒体(教本・教材など)が開発され、学修者の理解に役立つものが多数存在する。しかし、解剖生理学で扱う内容は膨大で、中には教科書間で異なる定義や重要度の割に解説に乏しい専門用語が存在するため、学修者あるいは指導者の間でも共通した理解が得られ難いのではと思しき項目がいくつかある。その例として、人体を構成する組織の一つ「結合組織」を取り上げた。医療専門職用の一般的な解剖生理学の教科書を選抜し、「組織」の章に記載される結合組織について調査を行...

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Published in形態・機能 Vol. 17; no. 2; pp. 54 - 64
Main Author 川畑, 龍史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published コ・メディカル形態機能学会 2019
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ISSN1347-7145
1884-6084
DOI10.11172/keitaikinou.17.54

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Summary:人体の構造と機能を学ぶ学問(解剖生理学)は、医学の基礎(基礎医学)であり、医療専門職(コ・メディカル)全体の必須科目である。この科目の重要性から、最近では様々な教育媒体(教本・教材など)が開発され、学修者の理解に役立つものが多数存在する。しかし、解剖生理学で扱う内容は膨大で、中には教科書間で異なる定義や重要度の割に解説に乏しい専門用語が存在するため、学修者あるいは指導者の間でも共通した理解が得られ難いのではと思しき項目がいくつかある。その例として、人体を構成する組織の一つ「結合組織」を取り上げた。医療専門職用の一般的な解剖生理学の教科書を選抜し、「組織」の章に記載される結合組織について調査を行った結果、組織の分類や細かな組織用語、さらにそれらの組成や所在など、調べた限り多くの項目で教科書間差が見つかり、学修者間で共通理解が得難いのではと思える部分があった。一方で、人体の構成や仕組みの複雑性に鑑みると、定義や見解を完全に一致させることは非常に困難であることも事実である。しかしながら、例えば結合組織などの難解な専門用語を扱う際には、教員は、できるだけ多くの教科書に記載される内容を集約し、記述内容の普遍性や傾向をつかむように努めるとともに、生物教材等を直に観察する実験・実習を通じた学びを取り入れる工夫が大切となる。
ISSN:1347-7145
1884-6084
DOI:10.11172/keitaikinou.17.54