大動脈解離偽腔内もやエコーと偽腔内部分血栓化

急性大動脈解離は致死率が高い緊急症であり, 脳をはじめとするさまざまな臓器に虚血症状を呈しうる疾患である. 特に上行大動脈に解離がおよぶStanford A型大動脈解離では, 脳梗塞を伴う頻度が6~32%と高い. これらの脳梗塞は解離の急性期に生ずることが多いが, まれに慢性期においても発症し, 神経内科医や脳神経外科医が初療に当たる場合もある. 大動脈解離の長期予後は, 偽腔内血流の有無により異なり, 偽腔の完全な血栓化例よりも部分的に血栓化した症例で, 死亡率や再手術に至ることが多いとされ, 経食道心エコー図検査(transesophageal echocardiography;TEE)か...

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Published inNeurosonology Vol. 28; no. 3; pp. 131 - 133
Main Authors 清水, 高弘, 小倉, 英, 長谷川, 泰弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本脳神経超音波学会 2015
日本脳神経超音波学会
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Summary:急性大動脈解離は致死率が高い緊急症であり, 脳をはじめとするさまざまな臓器に虚血症状を呈しうる疾患である. 特に上行大動脈に解離がおよぶStanford A型大動脈解離では, 脳梗塞を伴う頻度が6~32%と高い. これらの脳梗塞は解離の急性期に生ずることが多いが, まれに慢性期においても発症し, 神経内科医や脳神経外科医が初療に当たる場合もある. 大動脈解離の長期予後は, 偽腔内血流の有無により異なり, 偽腔の完全な血栓化例よりも部分的に血栓化した症例で, 死亡率や再手術に至ることが多いとされ, 経食道心エコー図検査(transesophageal echocardiography;TEE)から得られる情報は多い. 症例は高血圧症の既往がある60歳女性である. 某年X月23日にStanford A型大動脈解離を発症し, 上行大動脈置換術が施行された. 上行大動脈にentryを認め, 解離は左右総頸動脈にも及んでいたが, 神経合併症は認めず, 術後経過は良好であった.
ISSN:0917-074X
DOI:10.2301/neurosonology.28.131