経気管吸引法 (TTA) で診断した肺膿瘍の臨床的解析

胸部X線写真および/または胸部CT所見上空洞を伴う浸潤影を認め, かつ経気管吸引法 (Transtracheal aspiration: TTA) から細菌を分離した肺膿瘍症例20例 (男性18例・女性2例, 平均年齢54.3±11.2歳) の臨床像を解析した. 基礎疾患・合併症は糖尿病12例, 歯牙・歯周疾患11例などであった. 臨床症状は咳嗽, 胸・背部痛が多く, 発熱を認めない症例もあった. TTA分離菌は75%が複数菌感染であり, 好気性菌17株, 嫌気性菌35株を分離した. 好気性菌ではStreptococcus pneumoniaeやStreptoccoccus intermedi...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 72; no. 11; pp. 1193 - 1196
Main Authors 古西, 満, 森, 啓, 善本, 英一郎, 眞島, 利匡, 植田, 勝廣, 寺本, 正治, 坂本, 正洋, 辻本, 正之, 前田, 光一, 三笠, 桂一, 澤木, 政好, 成田, 亘啓, 佐野, 麗子, 増谷, 喬之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 20.11.1998
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Summary:胸部X線写真および/または胸部CT所見上空洞を伴う浸潤影を認め, かつ経気管吸引法 (Transtracheal aspiration: TTA) から細菌を分離した肺膿瘍症例20例 (男性18例・女性2例, 平均年齢54.3±11.2歳) の臨床像を解析した. 基礎疾患・合併症は糖尿病12例, 歯牙・歯周疾患11例などであった. 臨床症状は咳嗽, 胸・背部痛が多く, 発熱を認めない症例もあった. TTA分離菌は75%が複数菌感染であり, 好気性菌17株, 嫌気性菌35株を分離した. 好気性菌ではStreptococcus pneumoniaeやStreptoccoccus intermedius, 嫌気性菌ではPeptostreptococcus microsやFusobacterium necropkorumを多く分離した. 白血球数・好中球比率は増加していたが, CRPは上昇しない症例も存在した. 胸部画像所見上病巣部位は右上葉・右下葉・左上葉が各6例であった. 全例抗菌薬治療のみで治癒したが, 4例で空洞が残存した.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.72.1193