外傷性横隔膜損傷に対し,緊急で鏡視補助下に横隔膜修復術を行った1例

症例は21歳,男性。乗用車同士の交通事故で救急搬送された。全身CT検査で,左横隔膜損傷Ⅲb型(lR3)Stを認めた。呼吸状態が悪かったため気管挿管を行い,緊急手術が必要と判断した。意識障害を認めたが循環動態は安定しており,鏡視下手術も可能と考え,緊急で鏡視補助下に横隔膜修復術を施行した。術中所見では,左横隔膜に径約10cmの穿孔を認め,胃が嵌頓していた。嵌頓を整復した後,腹腔内・胸腔内を観察したが,その他の損傷は認めなかった。横隔膜は鏡視補助下小開腹にて縫合閉鎖した。術後経過良好であった。外傷性横隔膜損傷に対して,緊急手術を要する場合には開胸・開腹下で行うことが一般的であるが,待機的手術が可能...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 36; no. 4; pp. 829 - 832
Main Authors 高橋, 遼, 林, 英司, 蟹江, 恭和, 岡田, 禎人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2016
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Summary:症例は21歳,男性。乗用車同士の交通事故で救急搬送された。全身CT検査で,左横隔膜損傷Ⅲb型(lR3)Stを認めた。呼吸状態が悪かったため気管挿管を行い,緊急手術が必要と判断した。意識障害を認めたが循環動態は安定しており,鏡視下手術も可能と考え,緊急で鏡視補助下に横隔膜修復術を施行した。術中所見では,左横隔膜に径約10cmの穿孔を認め,胃が嵌頓していた。嵌頓を整復した後,腹腔内・胸腔内を観察したが,その他の損傷は認めなかった。横隔膜は鏡視補助下小開腹にて縫合閉鎖した。術後経過良好であった。外傷性横隔膜損傷に対して,緊急手術を要する場合には開胸・開腹下で行うことが一般的であるが,待機的手術が可能の場合には,鏡視下手術の報告が増えてきており,術後の整容性が評価されている。今回われわれは,鏡視補助下で緊急手術を安全に施行できた外傷性横隔膜損傷の1例を経験した。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.36.829