JAK2V617F変異を伴う骨髄増殖性腫瘍の 変異クローンの拡大はPD-1陽性CD8陽性T細胞の減少を伴う

JAK2V617F変異を伴う骨髄増殖性腫瘍患者の血液では,野生型JAK2遺伝子血球(正常造血細胞由来)と,JAK2V617F変異遺伝子をもつ血球(JAK2V617F変異造血細胞由来)の両者が混在する.そして近年,JAK2V617F変異血球に対する抗腫瘍免疫の存在と,免疫チェックポイント分子の関与が示唆されている.今回我々は,JAK2V617F変異クローンの拡大と,血球上に発現する免疫チェックポイント分子の関係性を明らかにする為に,患者26名の末梢血液を用い,JAK2V617F変異血球クローンの割合(JAK2V617F allele burden),PD1陽性CD8陽性T細胞群比率,血小板上のP...

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Published in岩手医学雑誌 Vol. 73; no. 4; pp. 165 - 176
Main Authors 宮島, 真理, 古和田, 周吾, 関, 裕葵, 佐藤, 剛, 前田, 峻大, 阿保, 亜紀子, 岡野, 良昭, 佐々木, 了政, 小宅, 達郎, 伊藤, 薫樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 岩手医学会 2021
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Summary:JAK2V617F変異を伴う骨髄増殖性腫瘍患者の血液では,野生型JAK2遺伝子血球(正常造血細胞由来)と,JAK2V617F変異遺伝子をもつ血球(JAK2V617F変異造血細胞由来)の両者が混在する.そして近年,JAK2V617F変異血球に対する抗腫瘍免疫の存在と,免疫チェックポイント分子の関与が示唆されている.今回我々は,JAK2V617F変異クローンの拡大と,血球上に発現する免疫チェックポイント分子の関係性を明らかにする為に,患者26名の末梢血液を用い,JAK2V617F変異血球クローンの割合(JAK2V617F allele burden),PD1陽性CD8陽性T細胞群比率,血小板上のPD-L1発現レベル,を評価した.その結果,JAK2V617F allele burdenはPD1陽性CD8陽性T細胞群比率と有意な逆相関を示した.一方で,血小板上のPD-L1発現量は,JAK2V617F allele burdenやPD1陽性CD8陽性T細胞群と明らかな相関を認めなかった.結論として,JAK2V617F血球のクローンサイズの増加とともに,PD1陽性CD8陽性T細胞群は減少する.一方で血小板上のPD-L1発現量はJAK2V617F変異血球や抗腫瘍免疫細胞の動態を反映しない.
ISSN:0021-3284
2434-0855
DOI:10.24750/iwateishi.73.4_165