培養陽性本邦レジオネラ肺炎症例について, 1980年から1990年まで

厚生省レジオネラ症研究班は, 我が国でのレジオネラ肺炎発生状況を知るための第一歩として, 本疾患の診断基準を策定することになった.この目的達成の基礎となる確実な資料を得るため, 過去11年間に培養陽性で診断が確定した本邦レジオネラ肺炎28症例の臨床データを収集し, 多角的に解析した. 28症例は北海道から九州までの全国にまたがり, このうち市中感染は19症例で全体の2/3を占め, 更にそのうちの8症例では有意な基礎疾患が認められなかった.好発年齢は60~70歳代であったが, 全体としてみれば患者は20歳代以上の成人と新生児 (1症例) に分布していた.28症例中生存し得たのは5症例に過ぎない....

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Published in感染症学雑誌 Vol. 66; no. 11; pp. 1513 - 1523
Main Authors 荒川, 迪生, 原, 耕平, 斎藤, 厚, 江崎, 孝行, 稲松, 孝思, 田口, 善夫, 藪内, 英子, 中浜, 力, 上田, 泰
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 01.11.1992
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.66.1513

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Summary:厚生省レジオネラ症研究班は, 我が国でのレジオネラ肺炎発生状況を知るための第一歩として, 本疾患の診断基準を策定することになった.この目的達成の基礎となる確実な資料を得るため, 過去11年間に培養陽性で診断が確定した本邦レジオネラ肺炎28症例の臨床データを収集し, 多角的に解析した. 28症例は北海道から九州までの全国にまたがり, このうち市中感染は19症例で全体の2/3を占め, 更にそのうちの8症例では有意な基礎疾患が認められなかった.好発年齢は60~70歳代であったが, 全体としてみれば患者は20歳代以上の成人と新生児 (1症例) に分布していた.28症例中生存し得たのは5症例に過ぎない.また死亡した23症例中5症例ではレジオネラ肺炎は一旦治癒した後, 他の疾患または他菌種による肺炎で死亡していた.臨床検査データ及び有効治療剤についてはこれまでの文献記載の事項にほぼ一致していた.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.66.1513