2 北部ベトナム産のインドセンチニクバエに見られる蛹休眠性の地域変異
北緯20度から22度にかけての亜熱帯に位置するベトナム北部地方産のインドセンチニクバエBoettcherisca nathani Lopesの3系統について20℃における蛹休眠性を誘導する光周反応を調べた. その結果, 蛹休眠率と休眠誘導のための臨界日長に地域による変異が認められた. 休眠率はTam Dao産90%, Cuc Phuong産77%, Truong Yen産45%, 臨界日長はそれぞれ12h00, 11h30min, 10h50minであった. この3地点はハノイから100km圏内にあり緯度的にはあまり変わらないが, 標高はTam Daoが1000mと最も高く, Truong Y...
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Published in | Medical Entomology and Zoology Vol. 50; no. 2; p. 184 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本衛生動物学会
1999
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Summary: | 北緯20度から22度にかけての亜熱帯に位置するベトナム北部地方産のインドセンチニクバエBoettcherisca nathani Lopesの3系統について20℃における蛹休眠性を誘導する光周反応を調べた. その結果, 蛹休眠率と休眠誘導のための臨界日長に地域による変異が認められた. 休眠率はTam Dao産90%, Cuc Phuong産77%, Truong Yen産45%, 臨界日長はそれぞれ12h00, 11h30min, 10h50minであった. この3地点はハノイから100km圏内にあり緯度的にはあまり変わらないが, 標高はTam Daoが1000mと最も高く, Truong Yen 900m, Cuc Phuong 170mと順に低くなる. Truong Yen産では同じ系統内の休眠蛹の休眠深度にもばらつきが認められ, 低温処理することなしに20℃に放置して羽化させたところ50日と70日付近に羽化の山が観察された. これらの結果は亜熱帯ではほぼ同じ緯度にある地域でも地域の系統間でわずかな環境の違いを反映してか微妙に変化していることを暗示しているようである. 温帯地域にまで分布を拡大しているセンチニクバエにその発達が見られる真性蛹休眠の起源を考える上で重要であることがわかった. |
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ISSN: | 0424-7086 2185-5609 |
DOI: | 10.7601/mez.50.184_2 |