環境保全型農業推進のビジネスモデル事例
近代科学•技術の発展による化学肥料や農薬の多投による慣行農法は、短期的には省力化と生産性の向上をもたらした。しかしながら、他方で、中長期的には土壌の劣化や水質汚染をもたらし、その結果生産の低下や健康被害をもたらした。食糧生産の持続性は人類生存の基本であることから、この慣行農法に関する見直しが始まり、それに代わる農法として、環境保全•循環型農法の開発が始まった。これは植物の生態を活用する方法であり、慣行農法の前の時代に発展してきた方法を土台としており、環境保全•循環型農法は自然生態との有機的な共生のなかで行われる。そこでは緻密な観察や知恵が不可欠であり、場合によっては人力も必要である。環境保全•...
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Published in | MACRO REVIEW Vol. 24; no. 1; pp. 27 - 31 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本マクロエンジニアリング学会
2011
JAPAN MACRO-ENGINEERS SOCIETY |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0915-0560 1884-2496 |
DOI | 10.11286/jmr.24.27 |
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Summary: | 近代科学•技術の発展による化学肥料や農薬の多投による慣行農法は、短期的には省力化と生産性の向上をもたらした。しかしながら、他方で、中長期的には土壌の劣化や水質汚染をもたらし、その結果生産の低下や健康被害をもたらした。食糧生産の持続性は人類生存の基本であることから、この慣行農法に関する見直しが始まり、それに代わる農法として、環境保全•循環型農法の開発が始まった。これは植物の生態を活用する方法であり、慣行農法の前の時代に発展してきた方法を土台としており、環境保全•循環型農法は自然生態との有機的な共生のなかで行われる。そこでは緻密な観察や知恵が不可欠であり、場合によっては人力も必要である。環境保全•循環型農法は土壌の生産力を超えない収穫量が原則であることから、一般的に、反当たり生産量は、短期的には慣行農法と比べるとかなり少ない。したがってこの農法で行う農業生産者が農業ビジネスとして立ち行くためには、農法の転換の移行期間をうまく乗り越えなければならず、それ故に同農法の生産者の数が容易に増えない。他方でビジネスとして成り立っている生産者も近年にはかなり増えてきていることも事実である。本稿では、彼らをビジネスモデルとして紹介し、環境保全•循環型農法を促進することの一助としたい。以下、2人の米生産者と1人の野菜生産者のビジネスモデルを提示する。 |
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ISSN: | 0915-0560 1884-2496 |
DOI: | 10.11286/jmr.24.27 |