下痢患者由来Campylobacter jejuniのニューキノロン薬に対する薬剤感受性の年次別推移
わが国で分離されたC.jejuniのニューキノロン薬に対する耐性頻度を明らかにするために, 1989年から1994年の6年間に, 散発下痢症患者から分離されたC.jejuniの600株を対象に薬剤感受性試, 験を行った.供試薬剤は, norfloxacin (NFLX), oHoxacin (OFLX), ciproHoxacin (CPFX) の3種のニューキノロン薬とnalidixic acid (NA), erythromycin (EM), tetracycline (TC) の計6薬剤である.薬剤感受性試験は, 寒天平板希釈法により行い, 最小発育阻止濃度 (MIC) を測定した....
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Published in | 感染症学雑誌 Vol. 70; no. 12; pp. 1227 - 1233 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本感染症学会
20.12.1996
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ISSN | 0387-5911 1884-569X |
DOI | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.70.1227 |
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Summary: | わが国で分離されたC.jejuniのニューキノロン薬に対する耐性頻度を明らかにするために, 1989年から1994年の6年間に, 散発下痢症患者から分離されたC.jejuniの600株を対象に薬剤感受性試, 験を行った.供試薬剤は, norfloxacin (NFLX), oHoxacin (OFLX), ciproHoxacin (CPFX) の3種のニューキノロン薬とnalidixic acid (NA), erythromycin (EM), tetracycline (TC) の計6薬剤である.薬剤感受性試験は, 寒天平板希釈法により行い, 最小発育阻止濃度 (MIC) を測定した. その結果, ニューキノロン薬に対する耐性菌 (MICが6.25μg/ml以上) の出現状況は, NFLXでは45株 (7.5%), OFLXでは45株 (7.5%), CPFXでは44株 (7.3%) であり, 国内由来株にもニューキノロン薬に対する耐性株が認められ, 特に1993年以降, 耐性株が顕著に増加している事が明らかとなった.耐性パターンは, NFLX, OFLX, CPFX, NAの4剤耐性を示すものが最も高頻度に検出された. C.jejuniの同定に用いられているNAには, 耐性株の増加傾向が認められたが, 治療薬として汎用されているEMでは, 耐性株の出現率は低く, 増加の傾向も認められなかった.TCに対しては, 以前に指摘したごとく, 2峰性のパターンを示した. なお, 供試菌株の血清型と耐性株との間には, 関連性は認められなかった. |
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ISSN: | 0387-5911 1884-569X |
DOI: | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.70.1227 |