根管貼薬剤としてのCa(OH)2がStreptococcus sanguis に及ぼす抗菌効果について

常法の根管治療を行っても, 疹痛や根管からの滲出液などが消失しない根尖性歯周炎に対して, 一般的には覆髄剤, 根管充填剤として用いられているCa(OH)2 powderを貼薬したところ, 良好な治癒が得られることを私たちはしばしば経験した.Ca(OH)2のこの機序については, さまざまな因子が考えられるが, 今回は, Ca(OH)2単味, および, 抗菌剤を添加した場合の細菌に対する作用について, 寒天内拡散法を用いて検討を加えた.その結果, Ca(OH)2単味の場合は, 薬剤に近接したわずかな部分にしか発育阻止作用が及ぼないことが明らかになった.そこで, 感染根管貼薬剤として用いるために,...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in昭和歯学会雑誌 Vol. 5; no. 1; pp. 50 - 54
Main Authors 山口, まどか, 浅野, 和美, 太田, るみ, 船井, 博雄, 松本, 光吉, 山本, 綾子, 鷹森, 健志郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学・昭和歯学会 1985
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:常法の根管治療を行っても, 疹痛や根管からの滲出液などが消失しない根尖性歯周炎に対して, 一般的には覆髄剤, 根管充填剤として用いられているCa(OH)2 powderを貼薬したところ, 良好な治癒が得られることを私たちはしばしば経験した.Ca(OH)2のこの機序については, さまざまな因子が考えられるが, 今回は, Ca(OH)2単味, および, 抗菌剤を添加した場合の細菌に対する作用について, 寒天内拡散法を用いて検討を加えた.その結果, Ca(OH)2単味の場合は, 薬剤に近接したわずかな部分にしか発育阻止作用が及ぼないことが明らかになった.そこで, 感染根管貼薬剤として用いるために, 種々の抗菌性薬剤を添加してみた、この場合に, pHはCa(OH)2 pasteに比較して低下するが, 阻止作用は強くなり, Ca(OH)2に抗菌剤を添加することは有効な方法であることがわかった.したがって, Ca(OH)2 pasteに添加しても効果を失わず, かつ, pHを低下させないような薬剤について, さらに検討する必要があると考えられる.
ISSN:0285-922X
2186-5396
DOI:10.11516/dentalmedres1981.5.50